*secret recipe*６ (ページ35)

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secret Christmas12 ページ35

勢いとはいえ、終わりを告げるとあっけないもので。

Aは。

A 『え？・・・ちょ、ちょっと待ってください！あの・・・』

って言ってたけど。

それ以上声を聞くのがツラくて。

電話を切って。

電源をオフにして。

携帯をビールに持ち変えた。

そのまま何も考えず、感じずにボーっとしてると。

インターフォンが鳴って。

誰だか予想がついたからそのまま玄関に向かって。

ドアを開けると。

翔『え？』

そこには俺の予想してたAじゃなくて。

コンシェルジュの内藤さんが立っていて。

内藤『・・・夜分に失礼致します。・・・先ほど下に鈴木様がいらっしゃいまして。』

そう言って手に持っていた紙を１枚俺に差し出した。

渡された紙を開くと。

黒いピアスがころん、と落ちて。

サクラのピアスはお返し出来ません。
ごめんなさい。
ヘッドフォンもブランケットもごめんなさい。

私の物は全て処分して頂いて構いません。

ありがとうございました。鈴木

そう書いてあった。

俺が何も言えないでいると。

内藤『これだけは確実に渡せるように手渡しで、と言われまして。』

そう言って差し出した手には。

俺の誕生日会の時に一回だけ使われた俺の家のカギがあって。

翔『内藤さん、ありがとね。』

そう言ってドアを閉めようとすると。

内藤『私は何も知らないので勝手には言えませんが。』

翔『ん？』

内藤『前にサプライズでいらした時は我慢されてましたが。・・・今回は我慢出来ずに涙されておりました。・・・ではこれで失礼致します。』

そう言ってドアは閉まった。

内藤さんから直接受け取ったカギにはAにあげたときには付いてなかったキーホルダーがついていて。

赤い、革で出来たハートの形のキーホルダー。

目の高さに上げて揺らしてみるとふんわりとAの香りがして。

・・・勢いとはいえ。

俺から別れを告げたはずなのに。

Aがいとおしくて仕方なかった。