【短編集】今始まる物語。【募集企画】 (ページ3)

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突然の知らせ【神城珀斗】ページ3

珀斗 side

「珀斗ぉ、なんか手紙来てっけど？」

「…え？」

兄の手に握られていたのは…、なんだあの手紙。

しかも政府から？え、まじでなんだ？

「いいんじゃね？行ってこいよ！最近のあの恋愛のドラマのやつみたいだし？」

「あのなぁ、そんなに乗り気だけどだいたい俺は、！」

「受験もねぇし頭悪い弟にはうってつけだわ。」

「ふざけんなってぇ…」

いや、俺の理想としては校則が割と自由な高校に進学して楽しむつもりだったんだよ。

しかも泊まり込み？ふざけんなよ寮生活とかキツイって…彼女出来ねぇじゃん…

なんて言っているものの、俺は”本当の恋”をしたことがない。恥ずかしながら。

中学ん時は男友達も女友達にも困んなかったし彼女も居たけど。

本当に好きではなかった。自分に想いを寄せていた彼女に同情していただけだった。

『っ、珀斗は本当に私と付き合う気ないでしょ。…ねぇ否定してよ。ねぇ！』

別れてだいぶ月日が経った今でも、その言葉が胸に突き刺さってる。

「あーあー！もう！行くから車出せよ兄ちゃん！」

「それ人に頼む態度かよ！」

指定された高校に着くと、…とにかく広かった。

何人かが集まって説明受けてるけど、まぁいいや。先に探索だ探索。

目線を前に向けると一人ぽつんと木の下に立っている女の子を見つけた。

「同い年、くらいかな…」

でもなんだか喋りかける勇気が出なかったから、やめた。

そーいやここって部活あんのかな、バスケやりてぇ。

…と、暫く校内や外観を探索してとりあえず宿舎に向かった。

「失礼しまーす…って今日から住むのか…」

俺がここで”本当の恋”を体験することになるなんて入学当初は想像していなかった。

だから今となってはここには感謝しかないわけなんだけど。

中学とはまた違った”青春”の1ページが、始まった。