【短編集】今始まる物語。【募集企画】 (ページ15)

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面倒。けど…【雁佐真之介】ページ15

「之介ー。手紙きてんぞー。」

兄である真由岐(まゆき)からお呼び出しがかかった。俺はとても面倒と思う。

『えぇ…そっちいくのめんどい。由岐が読むか俺に渡して～。』

なんだかんだ由岐にぃは俺に優しいからなぁー。
ちゃんと俺読んでくれるのよ。

「はー。はいはい。お兄様に感謝せぇよー。
どれどれー、宛名は………は？政府って、之介、お前何やらかしたん？」

……は？政府？俺特に何かした覚えないんだけど。
ほら見ろ。政府ってワードで家族みんな反応しちゃったよ。

「之介ぇwお前『は？政府？俺特に何かした覚えないんだけど。』って顔しとるでw」

まぁだってそう思ってたもん。そんなことを考えていると、由岐にぃが俺に手紙を渡してきた。

「なんか俺が読んじゃまずそうやし、渡しとくわ。」
『…あんがと。』
って言いながらも覗きこんでるやん。しかも父さん母さん真奈(まな)まで。

まぁいいや。どれどれ。

￣￣￣￣￣
雁佐真之介様

＊月＊日、国内の高校に通う一部の高校生の皆様を対象に、長期に渡る調査を行います。

その調査対象に、あなたが選ばれました。

この調査は対象の高校生の皆様に、長期に渡り共同生活を行っていただきます。その間の皆様の心の変化を調査し、今後のこの国の発展に生かしていく予定です。

上記の日に身の回りの物をまとめ、【＊＊高校】にいらしてください。
＿＿＿＿＿

この文章を読んで出てくる言葉はこれしかないと思った。

『はーーー。めんど。』

「そんなこと言わないの！政府からなんでしょ！？じゃぁ行かなきゃじゃん！それに楽しそうじゃん！あー之介にぃ良いなー！」

そんなこと言うならさ、真奈にこの権限あげたいよ。
俺も好きで行きたい訳じゃないし。

「でもまぁ、真之介には良い経験になるだろ。
行ってこいよ、真之介。」
『父さん……』

「そうよ、真之介。こんな機会滅多にないものよ。行ってきなさいな。」
『母さんまで……』

そう言われたら、そんな気がしてきた。
基本的に俺は、面倒くさがってばかりで、いつもやらずにいてた。こんな風に、強制されない限りは。
面倒くさがりが直る…とまではいかないとは思うが、何か目標でも見つけられたら良いかな。

『分かった。行くよ。』

「之介！面倒くさがりのくせによく言った！それでこそ由岐くんの弟ぉ！！」
『ちょ、由岐にぃ…』

こうして、俺は高校に行くことが決まったのであった。