君に会うため【地縛少年花子くん】 (ページ4)

今日:9 hit、昨日:10 hit、合計:29,749 hit

神様ページ4

ごめんなさい、と誰かが泣く声が聞こえる。

目を開けた。
上も下も、右も左も分からないような真っ白な世界だ。

数歩先にいる誰かはその場にしゃがみこんで静かに肩を揺らしていた。
金糸のような輝く髪が柔らかに床に広がっている。

「何で泣いてるの？」

私はゆっくりと立ち上がってそう問うてみた。
その人は顔を上げて私を見る。

ブルーサファイアのような透き通った瞳と目が合う。

白い世界。白い肌。白い衣服。金色の髪と青の瞳。
息を呑んだ。まるで彼女のための世界のようだ。

≪ごめんなさい≫

彼女は謝る。
私はただ黙って聞いていた。

≪あなたが今“こちら”にいるのは私のせいなの≫

ピクリ、と反応する。
彼女は大粒の涙を溢しながらも目をそらすことはない。

「あなたは、神様？」

彼女はこくりと頷く。
そうして再びごめんなさい、と呟く。

「そっか」

ぱちり。瞬きを一つ。彼女と視線を交わす。
そうして、すっと息を吸い込んだ。

「良いよ」

彼女は目を見開く。
形の整った唇がどうして、と動いた。

「誰も許さなくたって、理由なんかなくたって、私が許すから」

にっこり。笑みを作って見せる。
彼女は驚いたように呆けて、つられたようにくすりと笑った。

≪それは、素敵ね≫
「そうでしょう？」

くすり、くすり。笑みを溢して、ありがとう、と言われて。
遠くを見つめる。

≪もう時間みたい≫
「また会える？」
≪どうかしら≫

会いたいな、と呟いてみる。
彼女は端正な笑みを浮かべた。

≪あなたがそう望むのなら≫

徐々に意識が遠退いていく。
彼女の姿が朧気になっていく。

「神様」

またね、と伝えた声は届いただろうか。