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バレンタイン ページ23

「今私はキキテキジョーキョーに陥っている!」

ガヤガヤと騒がしい教室で挨拶もそこそこに机を叩きつけてきた目の前の彼女にびくりと肩を揺らした。

「……危機的状況、ね。なに、どうしたの」

普段使わない難しい単語を使うから、なんて言いつつ理由を問うてみる。

「今!二月!もうすぐ!バレンタイン!」

バン、と一際大きく机を叩いて、ぐわ、と目を見開く彼女に少しだけ引きつつ、ああ、と納得の声をあげる。

「また一緒に作ろうか」

呆れたような笑みを浮かべてそう誘うと、花が咲いたようにパッと元気な笑顔を向けられる。

眩しい、と少し目を細めた。



二月十四日、バレンタイン当日。

「うう〜、キンチョーしてきたあ……」

不安気に瞳を揺らす彼女の手には昨日作ったチョコレートがある。

「大丈夫」

今からあなたがそれを渡そうとしている彼も、あなたのことが好きだから。
……なんて、絶対に言ってやんないけど。

「頑張って」

それくらい、許してよね。
何も伝えずに応援してるんだから。

「……ありがとう!」

いつもより力強く、嬉しそうに笑う彼女に手を伸ばしそうになる。
行かないで、と言いたくなる。

中途半端に持ち上げた腕を左右に軽く振って、ひきつった表情筋を無理矢理持ち上げた。



「……幸せになってね」

廊下の角に消えて見えなくなった彼女の背に声をかけた。





─バレンタイン─END

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八重(プロフ) - カシオペアさん» ありがとうございます!!まさかこっちまで読んで頂けるとは……その上コメントまで……本当に感謝します(*/□\*)上手なんて、恐縮です……(でも嬉しい)頑張ります!ありがとうございます!本当に!!! (2017年7月3日 21時) (レス) id: e19e44ac0b (このIDを非表示/違反報告)
カシオペア - ヒロアカの方を読んだので、こちらものぞいてみましたが本当に文を書くのが上手なんですね。一つ一つが短くて読みやすいです。更新、頑張ってください! (2017年7月3日 20時) (レス) id: 972c361b83 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八重 | 作成日時:2017年4月24日 2時

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