職場体験�� ページ11
「おまえを追ってきた。こんなに早く見つかるとはな！！僕は――……」
「その目は敵討ちか。言葉には気を付けろ。場合によっては子どもでも標的になる」
ゾクリ。
恐怖が身体中を駆け回る。
「標的、ですら…………ないと言っているのか。では聞け、犯罪者」
飯田は私に気付いていないのか。
「僕は……！おまえにやられたヒーローの弟だ……！！」
感情的になるな。
声をかけようとして、抑える。
「最高に立派な兄さんの弟だ！！兄に代わりおまえを止めに来た！！」
今、止めることは、即ち原作を変えることになりかねない。
「僕の名を生涯忘れるな！！インゲニウム。おまえを倒すヒーローの名だ！！」
「そうか。死ね」
背中に冷や汗が伝う。
でも、そろそろ慣れてきた。
「ああ！！！」
空気を切る音が聞こえる。
「インゲニウム。ハァ……兄弟か。ハァ……」
もう、動ける。
「奴は伝聞の為生かした。おまえは……」
「あ"っ」
ザクッ。身を切る音。
ブシィィ。血が吹き出る音。
「ぐっ……！！」
ガン。頭がぶつかる音。
「弱いな」
全てが聞こえる。
「あ"あ"っ！！」
視力が失われていても、目に見えるようだ。
「おまえも、おまえの兄も弱い……贋物だからだ」
「黙れ悪党……！！」
何度も何度も見返した、特にお気に入りのところ。
「脊髄損傷で下半身麻痺だそうだ………………！もうヒーロー活動は敵わないそうだ！！」
辛そうな声が聞こえる。
「兄さんは多くの人を救け……導いてきた、立派なヒーローなんだ！！」
泣きそうな声が聞こえる。
「おまえが潰していい理由なんてないんだ……！」
ああ、そうだね。
「僕のヒーローだ……僕に夢を抱かせてくれた立派なヒーローだったんだ！！！」
殺してやる、と叫んだ飯田の声に押されて地を蹴る。
「あいつをまず救けろよ」
声の元へ駆けて、蹴りを入れる。
「自らを顧みず他を救い出せ」
びゅ、と音を立てて刃物が襲いかかる。
「己の為に力を振るうな」
それを寸でのところで避けて、また攻撃をしかける。
「目先の憎しみにとらわれ私欲を満たそうなど…………」
頭めがけて振り上げた足は、軽く頭を傾げることで避けられる。
「ヒーローから最も遠い行いだ。ハァ…………」
飯田に説教をしながらも私への注意は怠らない。
「だから、死ぬんだ」
「ぐっ……！」
やられた。飯田が、やられた。
「じゃあな、正しき社会への供物」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 74人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
八重(プロフ) - 華の幽霊《sgsyu》さん» 初めまして。コメントありがとうございます。 質問のことですが、目が見えなくなったことでその他の感覚が鋭くなり、それで分かったのではないかと思われます。(すいません) これからも矛盾した点があるかもしれませんが、暖かい目で見てやってください。m(_ _)m (2018年3月14日 12時) (
レス) id: e19e44ac0b (このIDを非表示/違反報告)
華の幽霊《sgsyu》(プロフ) - はじめまして。小説がすごく面白くて、ついつい一日中見てしまいます。ところで質問なのですが、何故主人公は目が見えないのに頭を少しかしげて避けた、というのが分かるんでしょうか…？ (2018年3月14日 11時) (レス) id: db4eb032b8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 初めまして！めっちゃ面白かったです！！細かい指摘かもしれませんが、相澤先生の名前が相沢になってましたよ。更新、頑張ってください！ (2017年8月2日 19時) (レス) id: e8f34fd92e (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - カシオペアさん» ありがとうございます！また作ることがあれば、次はヒーロー名のことも考えて個性をつけようと思いました(笑)ぜひお付き合い願いますm(_ _)m (2017年7月10日 8時) (レス) id: e19e44ac0b (このIDを非表示/違反報告)
カシオペア - 続編来ましたね、おめでとうございます!確かに夢主ちゃんの個性だと、ヒーローネームって難しいですよね…。 私もダサいのしか思い付きませんでした(笑)これからも応援してます! (2017年7月10日 1時) (レス) id: 6e7c9f9de3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：八重 | 作成日時：2017年7月8日 12時
