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みんなが寝静まったその日の夜。
眠れずにキッチンに水を飲みに行くと、テヒョンアも居た。
怪我をした手を見せてもらうと、そこまで深い傷ではなさそうで今は血も止まっていたので安心する。
「本当にびっくりした…」
TH「Aがそんなに心配してくれるなんて思ってなかった」
「そりゃ心配だよ！」
TH「どうして？」
そう聞かれて、絆創膏を貼り替えていた手が止まる。
��どうして��？
…どうしてだろう、
「そ、そりゃあ、テヒョンアには本当に色々お世話になってるし」
TH「ふふ、そっか」
私の答えに四角い口で笑ってそう言うテヒョンア。
どうしてあんなに素朴な問いかけに私は挙動不審になってしまったのだろう。
理由が分からないまま、絆創膏を貼り替える手を再び動かす。
TH「Aって、彼氏いた事あるの？」
「え？」
突然の質問。それに意外な内容だった。
仕事柄、そういうプライベートな話は聞くに聞けなかったし、長い間一緒にいるけど一切したことがなかった恋愛の話だったから。
TH「ほら、恋人？居たことある？」
「もちろんあるよ？私もそこそこ経験は積んでますから」
TH「ふーん、」
「テヒョンアだってあるでしょ、彼女いたこと」
聞いてしまって、ハッとする。
こんなの、芸能人に聞く話じゃないよな…
「あっごめん、答えなくて大丈夫だよ」
TH「なんで？笑…そりゃあるよ、僕だってそこそこ経験は積んでますから」
そう言って私の言い方を真似るように答えてくれたテヒョンア。
絆創膏を貼り終わりテヒョンアの顔を見るとどこか遠くを見つめていた。
「ほら、明日早いんだから、早く寝てよね？」
TH「まって、」
救急箱を片付けようと歩き出した時、テヒョンアに手首を掴まれ止められる。
「ん？どうしたの？」
TH「今は？」
「なにが？」
TH「今は彼氏、居るの？」
「…居ないよ？」
私が答えるとテヒョンアはほっとしたような顔をして、��そりゃそっか、こっちにきてまだ少ししか経ってないもんね��なんて言って笑う。
TH「わかった。おやすみA」
「うん、おやすみ」
どうしてそんなことを聞くんだろう？
どうして急にそんな話をしたんだろう？
謎は深まっていくままで、その日の1日は終わった。
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作者名：ヒナ
| 作成日時：2021年9月3日 1時
