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.you side




『スマイル様』


「ん?」


『聞いても良いですか』




図書室で椅子に座るスマイル様に私は声を掛ける。
スマイルは視線を私に向けると
なに?と返事をした。




『全部、知ってたんですよね。はじめから』


「……まぁ。」


『じゃあ、あの言葉の真意は…』




いつしか、スマイル様は私に言った

向いていない、と。

当時の私にとってそれは
ムカつくくらい否定された気持ちになったけれど
多分、あれは全部分かった上での発言だったんだ。




「別に。本気で向いてないと思っただけ」




スマイル様は顔色ひとつ変えずそう答える。

やっぱり向いてないと言われるのは、
わかってても少し心にくるものがあるな…

するとスマイル様は
パタンと開いていた本を閉じ、丁寧に私の方へ向き直した




「邪心が無いんだよ。あんたには。」


『え、』


「今まで非道な行いをしてきたかも知れないが
でも、その道しか教えられてこなかったんだろ」


『………』


「だから向いてないって言った」


『でも、私は簡単に人を殺められます
………もう、普通の人間には、戻れません』


「それを言ったら俺らも普通の人間じゃなくなるけど。
誰かの為にやらなきゃいけなかった事ならひとつの選択肢としてそれは別に間違ってなんじゃないか」


『間違って、ない……』




不思議な気持ちだ。
否定されていたと感じていたものは
今ではこんなにも心を穏やかにしている。

そういえば、なんで彼はこの作戦に参加したんだろうか。
私との関わりなんて一ミリも無いはずなのに。




「……きんときがさ」




スマイル様はポツリと話し出す。
まるで、心がよまれているかのように。




「どうしても助けたい子がいるって、俺らに頭下げたんだよね。

きんときがそんな事するなんて初めてだったし

正直最初は俺を含めた全員(5人)はただの興味本位だった。」




……知らなかった。

きんとき様が、きんちゃんが、
私の為にそこまでしてくれてたこと。


頭を下げて誰かに頼んでまで
私のことを思ってくれていたこと。





「でもあんたに会って

きんときがそこまでして助けたい理由が分かってきた。

特にぶるーくは親そのものに対して

良いイメージを持ってなかったから

あんたに対しての感情移入は早かったと思う。」



.

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作品ジャンル:恋愛
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٩( ᐛ )و - 一気読みさせてもらいました!すごい美しい物語で…語彙力が溶かされました()心情の描き方がすごく柔らかくて細かくて心にくるものがありました!この物語に出会って楽しかったです! (2022年12月23日 17時) (レス) @page42 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - あずきさん» コメントありがとうございます…!!!わあああ嬉しいです…!!!!これからも頑張ります^^ (2022年9月30日 20時) (レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
あずき - 完結おめでとうございます!!これからも応援させてください~!!⸜🙌🏻⸝‍ (2022年9月30日 19時) (レス) @page43 id: fed7a00a2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - せなさん» コメントありがとうございます!めちゃめちゃ嬉しいです‼︎頑張ります^^| (2022年8月6日 2時) (レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - めっちゃくちゃ好きです...。。更新頑張ってください! (2022年8月2日 1時) (レス) @page15 id: 4799d8c49a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆー | 作成日時:2022年7月23日 17時

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