生まれ変われるなら。２【Kn】

７１~memory~ ページ23

.※表現注意



夢を見た。
小さい私が、同じく小さい子と遊んでる夢。

私はその子のことが大好きで、
その子も私のことを好きだと言ってくれていた。

だけど最近ずっと、
夢の中では顔だけが見えなかった。
覚えているのは大好きだった気持ちと、よく遊んでいたことだけ。

その子は、よく男の子に間違えられてて……

名前は、確か………

………



流れ込んでくる記憶は、意外にも私の脳にすぐ溶け込んでくれた。




名前は確か………


＿＿＿＿＿＿きんちゃん。





＊
＊
＊



私が生まれた家庭は、普通なんて言えるものじゃ無かった。


両親はいつも怒り狂
その的が私になることもあった。

幼稚園の頃から泣くことなんて許されなくて
転んで泣いたら、もっと痛い目に遭っていた。


そして小学生に上がり暫くした頃、
私は、きんちゃんに出会ったのだ。


いつもボロボロの私は教室でも距離を置かれていた。


だけど、きんちゃんだけは違った。
私に話しかけてくれて、友達になろう、と微笑んでくれた。

初めての友達だった。
それが、物凄く嬉しかった。


でも、私に絡むきんちゃんの事を悪く言う子も出てきた。

私は自分のせいできんちゃんのイメージを下げてしまうのが嫌だった。


だから、私は、学校を辞めた。


それでもきんちゃんは、
私の手をとって、いろいろな世界を見せてくれた。


学校に行かなきゃいけない時間も、
私を連れ回してくれた。


嬉しかった。


親に家にいることがバレたら、きっと私は、生きていられなかったから。




"ありがとう、きんちゃん"




当時の私はそれが口癖だった。



けど、幸せな時間は、やっぱり長くは続かなかった。




先生からの連絡で
学校を休んでいたことが親にバレて、
私は更にボロボロになっていった。




ある時、
両親の離婚により、私は引っ越すことになった。




「ゆりなは遠くにいっちゃうの？」

『うん…だから、私のことはわすれていいよ』

「ううん。絶対わすれない!
だって、ゆりなのこと、好きだから」

『わたしも…きんちゃんのこと、だいすき』




きんちゃんの存在が、ずっと私の支えだった。
きんちゃんが居たから、辛くても痛くても、生きていこうと思えた。


きんちゃんとの会話を終え
家に帰ると、私は母の車に乗せられた。




そして、新しい家に向かう。




その途中で、降ろされた。






"要らない"






そう吐き捨てられ、

人気がない森の入り口にポツリと、置いて行かれた。



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