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「スマイル様…‼︎‼︎大変です‼︎
大変申し上げにくいのですが…チーダ様が…。
ベル様と共に首を一切り………」
「…あぁ、わかってる」
「それと…その」
「なんだ?」
兵士は私へ鋭い矛先を向けた。
流石はシャークん様が教える軍隊兵。動きが速い。
でもまだ重心が軽いし、手が震えてる。
多分、人を斬ったことなんてないんだろうな……
「其方の方が最後にチーダ様とベル様と一緒にいるのを見たと言う目撃証言が御座います。
此処は私めが食い止めますのでスマイル様は避難を、!」
なるほど…。
目撃されたとなれば厨房付近か。
とことん詰めが甘い自分の行動に苛立ちを覚える。
『行ってください、スマイル様。』
思ったよりも明るい声を出した事に自分自身が吃驚した。
だけど涼しい顔して人生を終えるのは悪くないのかもしれないな、なんて。
「……悪いが、」
「スマイル様⁉︎危険です‼︎」
スマイル様は私の方へ歩み寄り
兵士に向かって真っ直ぐ言葉を投げかけた。
「此奴を犯人と決めつけるのは早いんじゃないか。」
何を言い出すのかと思えば。
なんで…なんでそんな事を言うの?
「しかし‼︎
チーダ様達が最後に目撃されたのは1時間程前で、それ以降の目撃情報が無いとなると…‼︎」
どうやらこの兵士も私と同じような事を思っているみたいで。
スマイル様に何とか納得してもらうように情報を話す。
それでも気にも止めないスマイル様は
もっと頭のおかしい事を言い出したのだ。
「1時間前なら俺が此奴といたけど」
「へっ…?それは、誠ですか…?」
「何で俺がわざわざ嘘つくんだよ」
「…‼︎大変失礼致しました‼︎」
「て事だから、此奴に犯行は不可能だ。
その目撃証言ってのも其奴の見間違いだろ。今すぐ隊全体に伝えて捜索して来い」
「はッ‼︎‼︎」
兵士はスマイル様の命により颯爽に去っていった。
そしてひとつため息を零した後、
私の腕を掴み強引に引いた。
*
ガチャリと音を立てて辿り着いた先は図書室。
一体なぜ彼は嘘をついたのか
私をこれからどうするつもりなのか
私は彼の背中に声を飛ばす。
『何故、助けたのです』
「助けた訳じゃ無いけど」
『嘘の証言までして…どういうおつもりなのですか』
「別に。深い理由はないが。」
……私は、薄々感じていた。
なかむ様を含め、此処の幹部達は何故か私を消さない…消そうとしないということを。
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٩( ᐛ )و - 一気読みさせてもらいました!すごい美しい物語で…語彙力が溶かされました()心情の描き方がすごく柔らかくて細かくて心にくるものがありました!この物語に出会って楽しかったです! (2022年12月23日 17時) (レス) @page42 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - あずきさん» コメントありがとうございます…!!!わあああ嬉しいです…!!!!これからも頑張ります^^ (2022年9月30日 20時) (レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
あずき - 完結おめでとうございます!!これからも応援させてください~!!⸜🙌🏻⸝ (2022年9月30日 19時) (レス) @page43 id: fed7a00a2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - せなさん» コメントありがとうございます!めちゃめちゃ嬉しいです‼︎頑張ります^^| (2022年8月6日 2時) (レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - めっちゃくちゃ好きです...。。更新頑張ってください! (2022年8月2日 1時) (レス) @page15 id: 4799d8c49a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆー | 作成日時:2022年7月23日 17時