68 ページ20
.no side
眠ったAを二人の幹部は心配そうに見つめていた。
何も語らない空間はとても静かだ。
沈黙を破ったのは軽く息を吸い込んだきりやんだった。
「…Aは賢いからさ、そろそろ勘付くんじゃない?」
きりやんの言葉に
ぴくりとぶるーくの肩が動いた。
「…うん。僕もそう思う」
綺麗に伸びたまつ毛は変わらず下を向いているままで
その瞳は微かに揺れ動いていた。
「でも、きんさんはまだ言えないって」
「ハァ?彼奴ほんっと日和ってんなぁ」
「気持ち、わかるけどね…
やんさんもわからなくは無いでしょ?」
「……まぁ。」
二人の表情は決して晴れない。
Aが起きないかを細かく確認しながら会話を続けていた。
そしてきりやんが何かを決心したように言う。
「会議するか」
その言葉を聞いてぶるーくは立ち上がった。
「うん。そうしよう」
二人は6人専用通信機で信号を飛ばすと
会議室へと向かっていった。
*
*
*
大きな部屋。天井も高く壁に手をつくまで時間が掛かるようなそんな大きな部屋。
その部屋の真ん中にはそれ又大きな長机が置いてあり、6個の椅子がバランス良く綺麗に並べてある。
余らせた空間が広がる中、目立つように中心に置いてあるその家具は決まって会議の時にしか使わない。
彼らはゾロゾロと部屋に入ると椅子に座る。
「今度はなんの会議?」
全員が座るとシャークんは眠たそうな声でそう言うと
きんときが口を開いた。
「…Aに何かあった?」
きんときはきりやんを見て問いかけた。
それは彼がAの所へ行っていたのを知っているからで、会議を呼び掛けたのも彼だったからである。
「そろそろ限界かも」
きりやんの言葉に、ついにか、と言わんばかりにみんな静かになった。
「ごめん。僕が刺激しちゃった」
「いや俺もちょっとやっちゃったし」
ぶるーくもきりやんも申し訳なさそうに呟く。
「Aは思い出してるってこと?」
「いや思い出してはない、はず。」
「ふーん」
スマイルは成程な、と小さく言えば腕を組んで背もたれに寄りかかる。
そして、今までみんなの様子を俯瞰していたなかむが口を開いた。
「きんとき、どうする?
俺はきんときの気持ちを尊重したいし、さすがにこの件はきんときの判断に任せるよ」
.
406人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「WT」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
٩( ᐛ )و - 一気読みさせてもらいました!すごい美しい物語で…語彙力が溶かされました()心情の描き方がすごく柔らかくて細かくて心にくるものがありました!この物語に出会って楽しかったです! (2022年12月23日 17時) (レス) @page42 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - あずきさん» コメントありがとうございます…!!!わあああ嬉しいです…!!!!これからも頑張ります^^ (2022年9月30日 20時) (レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
あずき - 完結おめでとうございます!!これからも応援させてください~!!⸜🙌🏻⸝ (2022年9月30日 19時) (レス) @page43 id: fed7a00a2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - せなさん» コメントありがとうございます!めちゃめちゃ嬉しいです‼︎頑張ります^^| (2022年8月6日 2時) (レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - めっちゃくちゃ好きです...。。更新頑張ってください! (2022年8月2日 1時) (レス) @page15 id: 4799d8c49a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆー | 作成日時:2022年7月23日 17時