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言われた通り、私はきりやん様の向かい側にある椅子に座る

それにしても私は何故認知されているんだ…?
きりやん様は私の顔は知らなかったにしろ名前を聞けば、あーはいあの人ね、みたいな反応をした

これもまた、"シャークん様と闘って数分保った新人"と私の知らないところで話が繰り広げられているのだろうか




「めちゃめちゃ怪我してんじゃん。何でもっと早くこなかったの。」


『この程度自己回復で十分だと思いましたので』




擦り傷程度、だと思っていたが
施される治療が傷に染みて、グッと身体に力が入る。




「擦り傷だからって甘く見てたら駄目だよ」


『………すみません』




にしても、まさかこんなに傷が出来ていたとは。
シャークん様は攻撃を仕掛けているようには見えなかったが、一体いつ…

もしかして、見えなかったではなく、攻撃をしているように見られない特殊な戦術があるのかもしれない。
だとしたら、物凄く厄介な相手だ。

それにシャークん様は、私の言葉を信用していない。
騎士団長だからこれからも関わる機会は多そうだけど…どうしたものか。




「はい、終わったよ」


『ありがとうございました。』


「…ねえ、良かったら此処でお茶してってよ。
女の子が来ることなんて滅多にないし、俺も暇なんだよね」


『いえ、私は団の訓練がありますので』


「えー、いいじゃん。シャークんには俺から言っとくからさ」


『いや、あの、』




半ば無理矢理手首を掴まれれば、
医務室の奥の扉へと足を進めるきりやん様をぼーっと見ていたが
私の反対の腕が、別の人物に掴まれ、前進する足が止まる。




「このあとAは俺と用事があるから」


『…へ』


「ハァ?Aは団の訓練って言ってるけど?』


「ね?A?」


『は…、ま、まぁ…』


「…ふーん。まぁいいや。じゃあまた今度来てよ。」




きんとき様からの目線で、なんとなく嘘をついて助けてくれたのだと察する。
だから話を合わせてみたのだけれど、また借りを作ってしまったような気がしてならなかった。

意外にも呆気なく引いてくれたきりやん様は、むぅ、と不貞腐れながら治療道具を棚にしまっていた。



「じゃあ行こっか」



そうしてまた私はきんとき様と歩き出した。
向かう先は訓練場…かと思いきや真逆の方へ進み始める。

何処に向かおうとしてるの?

疑問は残るが
城内の偵察と考えればマイナスにはならないだろう、と大人しくきんとき様の後についた


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作品ジャンル:恋愛
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ゆー(プロフ) - 伊達猫さん» 素敵なコメントありがとうございます‼︎ぜひ最後まで楽しんで下さいませ! (2022年6月2日 0時) (レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
伊達猫(プロフ) - 新作おめでとうございます!初コメですが、krさんの小説から来ました!またテイストの違う内容なので、これからが楽しみです!頑張ってください! (2022年5月29日 6時) (レス) @page4 id: f609931830 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆー | 作成日時:2022年5月29日 3時

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