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「…一歩遅かったら、ﾀﾋんでたかもって、きりやんが、」
そう言った彼の身体は小刻みに震えていて、
回された腕が力弱く感じた。
「良かった……、目、覚ましてくれて」
私の存在を確かめるように、
今度は力強く、且つ、優しく私を抱き締める。
…心配かけてしまったんだな。
そう申し訳ない気持ちと戦っていたが、
私が生きていることに対してこんなにも安心してくれている彼を見ていたら、愛おしい気持ちの方が大きくなっていった。
しかし、
状況がわからないようじゃ、私は安心など出来なかった。
『あの、きんとき様、なかむ様は…』
私の言葉に、彼はぴくりと身体を反応させた。
そして私から身体を離すと、真剣な眼差しで私を見つめる
「なかむは無事だよ。」
『そうですか、良かった』
「…ねえA、一つ聞いてもいいかな」
『はい』
「なんで料理長に近付いたの？」
『え、』
彼は至って普通のはず。
だけど何処かいつもの雰囲気と違っていて、
私は思わず息を呑んだ。
「俺がぶるーくに連れられた時には事件は起きてたし、メイド達も騒いでた。
それなのに厨房に行く必要ってあったのかな？
料理長が毒を盛った犯人かもしれないのに、一人で近付くなんてあまりにも危険すぎると思わない？」
確かに、その通りだ。
反論などない。
だって、私は、料理長を暗殺する為に近づいた。
それ以上の理由なんてない。
だけどこれは絶対に、言えないこと。
『すみません、…』
「あ…うん。ごめん。責めたかったんじゃなくて」
謝った私に何故か彼が申し訳なさそうにしていた。
「Aに危険が及ぶの、俺が嫌だからさ」
ちょっとは気を付けて欲しいなって、と下手な笑みを浮かべる。
勿論、彼の言い分は理解できる。
私が無事暗殺を完了していれば全く問題はなかっただろう。
だけど、今回、騒動があったのにも関わらず
そいつに殺.されそうになったのだ。
心配されてもおかしくない。
私が、もっと強ければ、油断なんてしなければ、よかった話だ。
『かしこまりました、以後気をつけます』
そう言うと彼は、うん、と微笑む。
そして私の頭にぽん、と優しく手を乗せた。
………そういえば、料理長はどうなった？
ふと残る疑問に私は口を開く。
『あの、料理長は…？』
「ん？あぁ…」
一瞬目線を下に向けた彼が言葉を続けた。
「それが、行方不明なんだよね」
『は…？』
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ゆー(プロフ) - 伊達猫さん» 素敵なコメントありがとうございます‼︎ぜひ最後まで楽しんで下さいませ! (2022年6月2日 0時) (
レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
伊達猫(プロフ) - 新作おめでとうございます！初コメですが、krさんの小説から来ました！またテイストの違う内容なので、これからが楽しみです！頑張ってください！ (2022年5月29日 6時) (レス) @page4 id: f609931830 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆー | 作成日時：2022年5月29日 3時
