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彼の腕から器用に頭を通し、私は布団を出た。
ふと目に付いたのは、
ソファの前にあるテーブルの上の物。
そこには
"何かあったら呼んで。"
と不器用に書かれたメモと、新しい呼び鈴があった。
寝るまで付き添ってくれていたというのに、
いつの間に…。
本当に優しくて、お人好しで、私には勿体無い人。
呼び鈴を手に持った私は、
倒れた日、きりやん様に言われた事を思い出した。
そういえば、まだお礼、言ってなかったや。
私の足があるのは、彼がくれたこの呼び鈴のお陰。
私はそっとベッドに腰掛けた。
『…きんとき様、ありがとうございます』
小さく、そう、呟く。
彼が眠っていると知っていながら言うのは、
狡いだろうか、卑怯だろうか。
だけど、なんとなく、
"私なんかがお礼を言ったって"って、思ってしまうのだ。
彼に伝わらなくても、
私だけが彼に言った事を知っていればいい。
そんな自己満だ。
私は静かに、彼の部屋を出た。
＊
自室へ戻り、私は昨日研いだナイフを所持する。
実行するなら、早い方がいい。
何故なら、メイド長は日曜は一歩も外には出ない。
つまり、例えﾀﾋんでいても誰も気付かない。
気付くのは明日になるということ。
ﾀﾋんだのが直近じゃないとわかれば、もしかしたら金曜の夜には亡くなっていたかもしれないという可能性だって出てくるだろう。
それなら
犯人を絞られにくくなるはずだ。
私は颯爽にメイド長の部屋へ向かった。
思ったよりあっさり、誰にも会わずにメイド長の部屋に行くことができた事に思わずホッとした。
あとは実行のみ。
ガチャリ、と扉を開け部屋に足を踏み入れる。
ぶわっと香る香水の匂いに、
私はぐ、と息を堪えた。
『……………は、』
私は視界に映るものを見るなり、目を見開いた。
『ﾀﾋんでる………』
ベッドで寝ているのかと思いきや
布団は赤色で染められていて、
メイド長の脈は動いていなかった。
一体なぜ、
まさか、
他にも暗殺者が？
状況が変わり、冷や汗が止まらなかった。
だけど、この場に留まるのは非常にまずい。
私は直ぐにメイド長の部屋から出ると
自室に戻り、シャワーを浴びた。
香水の匂いの強さが
あの部屋に入った事を後悔させる。
そうか、匂いのせいで
ﾀﾋ体の匂いがわからなかったんだ。
それにしても、
一体誰が…………？
私はボスに連絡を飛ばした。
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ゆー(プロフ) - 伊達猫さん» 素敵なコメントありがとうございます‼︎ぜひ最後まで楽しんで下さいませ! (2022年6月2日 0時) (
レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
伊達猫(プロフ) - 新作おめでとうございます！初コメですが、krさんの小説から来ました！またテイストの違う内容なので、これからが楽しみです！頑張ってください！ (2022年5月29日 6時) (レス) @page4 id: f609931830 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆー | 作成日時：2022年5月29日 3時
