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カキン、と金属が接触する音が何度か響き渡る。
さすがは騎士団長といったところか、
私の攻撃は空気を切り裂く。
しかし、違和感を感じるのは
彼が私に対して一切攻撃をする動作を見せない事にあった。
女だからと手加減しているのか？
それとも私の戦闘の癖を見抜こうと時間を稼いでいるのか？
どちらにせよ、私から見れば
その行動は苛立ちに繋がる他ないものだ。
大きく振り被れば剣が交わる。
その反動の瞬間にくるりと身体を回転させ相手の背後に回り込む。
だが相手も途轍もない反応速度でそれに着いてきた
思わず、笑みが溢れそうになる。
こんな手応えのある相手ははじめてだと。
私は剣を地面へと刺し、切り上げた反動で砂を宙へ舞い上がらせた。
体勢を低くし戦闘を繰り返す。
そして剣を上へ投げる。その奇行に団長の目は一瞬泳いだ。
その隙、私は"仕事"用に保持していたナイフを片手に取り出し、突いた。
その刹那伸ばした腕を掴まれる
このくらい対処できるものだ、と動こうとしたとき、何故か彼のもう片方の腕が私の腰へするりと回され、そのまま引き寄せられた。
『ッ⁉︎』
彼の行動に動揺を隠せず、目を見開いた。
こんなこと、戦闘において命取りなのに、あってはならない事なのに。
「お前、名前は？」
『は、』
「名前」
『……Aです』
「Aね」
私の名前を聞けば彼は嬉しそうに喉を鳴らした。
距離が、近い……。
「戦闘は申し分ないけど、こういうのは初めてなのな」
彼は其の儘硬直して動けない私の額に口づけをした。
『なっ…⁉︎』
反射で離れようとするも、腰を強く掴まれていて余計に身体が接触してしまう。
こういう時、自分が女である事を改めて痛感し、
どうしようもないくらい悔しい気持ちが溢れ出てくるのだ。
其の儘、頬、首、肩、と口付けをされ
耳には彼のリップ音だけ響き、何をされているのか頭が回らなくなる程くらくらした感覚へと誘われて行った。
「A、後で俺の部屋に来い」
その言葉は強制的な口約束だった。
私は、ぺたんと、その場にへたり込んでしまう。
その数秒後、兵士たちの歓声が聞こえてきた。
「やっぱ騎士団長様は強い！！！」
「最強だ！！！」
幸いにも、私が巻き起こした砂嵐で
彼らには後半の一部何が行われていたのか目視できていなかったようだった。
ふ、と鼻で笑うように去っていく彼の姿に
最悪だ、と私は思った。
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ゆー(プロフ) - 伊達猫さん» 素敵なコメントありがとうございます‼︎ぜひ最後まで楽しんで下さいませ! (2022年6月2日 0時) (
レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
伊達猫(プロフ) - 新作おめでとうございます！初コメですが、krさんの小説から来ました！またテイストの違う内容なので、これからが楽しみです！頑張ってください！ (2022年5月29日 6時) (レス) @page4 id: f609931830 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆー | 作成日時：2022年5月29日 3時
