好きです、先輩【kr】

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「入って」



『きょ、強制なんですかそれは』



「うん」





きんとき先輩の強引さは
普段とのギャップもあり、物凄く破壊力がある。
それでも、
うーん…と悩んでいると
きんとき先輩は口を開いた。






「Aちゃん、俺の言うこと一つ何でも聞いてくれるって約束したよね？」



『えっ、でもそれは約束を破ったら…………あ』



「気付いた？」






体を離しニヤニヤと私を見るきんとき先輩。

そう、さっき私はいじめの事を隠そうと、
私はこれで、なんて言って無理矢理きんとき先輩から逃げようとした。



夏祭りの日にした約束は
きんとき先輩の前で無理しないこと。
即ち、あの状況になってしまった以上、隠したり逃げたりする行為は"無理をしている"ことになってしまう。






『…それなら…入ります…』



「ん、ありがとう」






きんとき先輩は満足そうに私の頭を撫でた。







「今日話通しとくから、明日の放課後から来てね」



『え、そんな早く…？』



「うん、急だけどごめんね」



『い、いえ…』







私はバスケ部に誰がいるのか、とか全然知らないし、きんとき先輩以外に知ってる人がいない場合
また極度の人見知りが発動して
やばいことになるのでは、なんて思った。







『あの……戻らないんですか？』



「あー…そうだね、戻らないと」






きんとき先輩は立ち上がり、
私の手を引いた。






『え、あの、』



「折角だし見学していかない？」






明日いきなり対面するより顔くらい見ておいた方がやり易くなるでしょ？と言ってくれるきんとき先輩。



お気遣いありがとうございます、と私が言うと







「まぁ俺が離れたくないだけなんだけどね」







と言った。







『え、あの、それってどういう…』



「はい、じゃあここから見てて」






私が聞こうとした言葉は遮られ、体育館内にあるパイプ椅子に座らされる。
これ使っていいからと自身が着ていたジャージを私に貸し、コートに戻っていった。



ジャージも、きっと
私のアザを隠す為なんだろうな。



ほんと、少し強引なところもあるけど優しい。





私はバスケ部に誰がいるのかを見に来たはずだったのに何故かきんとき先輩を目で追ってしまった。







そんな時、
ﾋﾟｺﾝとラインの通知が鳴ったことに気付いた。


鞄から携帯を取り出し
誰から来たんだろうと通知を確認した。








『………えっ』








それは意外な相手からだった＿＿＿


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