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私はその事を、親友であるミクに相談しようと思ったけれど
巻き込んでしまうかもしれない、と思い
言い出すことができなかった。






「あ〜。まじでストレス発散なるわ〜」






私は声を荒げることもなく、女の人からの暴力を受け続けた。

凄く、凄く痛いけど
先輩と会えなくなるのも、話せなくなるのも、好きを諦めるのも、絶対に嫌だったから
耐えるしかなかったんだ。








そんなある日







「何してるの?」







いつもと違う出来事がひとつ。

壁際にいる私と
私の目の前に立つ女の人。

そしてその横から、
きんとき先輩が声をかけたのだ。






「きんときじゃーん、これはね、
ちょっとした教育をね?」



「…へえ」






爽やかな笑顔を崩さず、答える。
けれど、目は一切笑っていなかった。

私はゾクリと背筋が凍った。




それはその女の人も同じだったらしく






「何よ、きんときっ、文句ある?」



「あるね」



「…ッ」






きんとき先輩は
女の人に近づき耳打ちをすると
女の人は何か怯えるようにその場から離れていった。



私は何を言われたのか
よくわからなかったが、
"今日の暴力"から解放されたんだと思うと
急に体に力が入らなくなった







「Aちゃんっ!」







しゃがみ込んでしまった私に
きんとき先輩が駆け寄る。


腕や足にはチラリと見える複数のアザと
乱れた制服。


そんな私の様子を見るきんとき先輩。
静かな空気が流れる。


私はその空気に耐えられず







『あっ、きんとき先輩、部活中ですよね?
すみませんっ、私はこれd…



「いつから?」



『…っ』







動こうとする私の腕を掴み
きんとき先輩は言葉を続ける。







「いつからこんな事されてるの?」



『えっと、1週間くらい、前から、ですかね…?』



「なんで言ってくれなかったの」



『迷惑、かけたくなくて、』



「ばか」



『…っきんとき先輩…?』









言葉と共にきんとき先輩は私を優しく抱き締めた。
私は吃驚したけど
抱き締めるきんとき先輩は少し震えていたから、押し返そうと思えなかった。







「Aちゃんさ、
バスケ部のマネージャーやらない?」







きんとき先輩は、バスケ部まだマネージャーいなくて…どうかな?と私に言った。

というかきんとき先輩バスケ部だったんだ…
まずそんなことも知らなかった私に驚くけど。





『で、でも』



「でもじゃない」




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設定タグ:ワイテルズ , WT , きりやん   
作品ジャンル:恋愛
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すみれいん(プロフ) - 4ページ目で近すぎぃってなって、5ページ目で言っちゃったぁ!ってなりました。好きです。ありがとうございます。 (2022年7月26日 20時) (レス) @page5 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
おりーぶ。 - 途中泣きそうになったのに後半見てからニヤけが止まらない……神ですか? (2021年8月28日 2時) (レス) id: a38d3e7402 (このIDを非表示/違反報告)
お餅の中のお餅 - 凄い好きです!! 結婚しませんか? ( ゚д゚)ハッ! 神に向かってなんてことを!! 失礼いたしました! (2021年8月1日 8時) (レス) id: 9d76c4111a (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの夢(プロフ) - めっちゃめちゃ面白かったです!!!!krさんいいですねー。もしよかったらなんですが、krさん視点とかも作って欲しいです!!更新は無理しないでください。 (2021年7月30日 21時) (レス) id: 59a61f3f5c (このIDを非表示/違反報告)
のん - あれ?夏祭りなんでチューしてたんですかね?読み返してみて疑問に思いました! (2021年7月28日 16時) (レス) id: 73f49162b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆー | 作成日時:2021年7月2日 4時

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