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.-Kiriyan side-


A「きりやんっ?!」


最初は驚いていたものの、久々に会う彼女は変わりのない姿とその笑顔で俺に笑いかけた。

ほんと、こんなすぐ会えるって思わなかったな。なんて思う。


A「きりやん、私ね」


彼女の口から出た色々な情報がすぐ俺の頭を支配した。

ぶるーくとシャークんに会えたこと、婚約相手がぶるーくだったこと、そして、神様の器に選ばれてたってこと。


最初はなんとなく、Aの境遇が似てるなって思っただけだった。
だけどほんとに神様の器…なんだな…

俺が改めて聞けば
「…そうみたい。」と力無く彼女は微笑む。
その笑顔は彼女が無理をしてる時のもの。

俺は、また何か異変があったんじゃないか。
そう思った。

だから、彼女の手をぎゅーっと握ってみたんだ。

何故手なのか。
それは彼女の最初の代償が右手の小指だったから。
もしかしたら手から失っていくんじゃないかって、ただの勘だったけれど、それに掛けた。

結果、俺がどれだけ力を入れても
痛がる様子もなく挙句どうしたの?だなんて、きょとんとしている。

結構強く握ってるんだけどな…。


kr「痛くないの?」


そう聞けば、彼女は再び、笑顔を向ける。

…っ、

俺はそれで全てを察した。
彼女はもう、両手の感覚を失っていたんだ。

なんで、彼女なんだろう、

俺はAに何ができるのか。

…してあげられることすら思い浮かばなくて。

いっそ、全部。
Aが抱えているもの全部、俺が貰ってあげられたら、どれだけ良いことか。

そう考えていたら
ふわっと彼女が俺を抱き締めた。

あまりに突然のことで吃驚したし、何より…
柔らかいものがさ、あの、当たっt………いや!そうじゃなくて!!!

ポンポンと、俺の背中でリズムを刻む彼女の手。
この手はもう、感覚が無いんだよな…。

そう思ったら止まらなくて。

彼女に力を使った時の事を聞いた。
だけど、


A「でもね、きりやん。私は、この力で誰かが助かるなら喜んで代償を払うよ。」


Aは真っ直ぐで頑固だ。こうなったらなかなか折れないのが彼女だとスマイルもいつの日か言ってたっけ。

でも俺はそれが納得できなくて、


kr「ばっかじゃないの?」


少しだけ、抵抗してみせた。


でもそれだけ、Aが大事なんだよ。
ほんとに、大事で、大切で。

誰かが助かってもAが辛い思いをするなら、
俺は迷いなくAをとると思う。


だから、これ以上自分を犠牲にしないで…。


.

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設定タグ:ワイテルズ , WhiteTails , シリアス   
作品ジャンル:恋愛
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璃音(プロフ) - 初コメ失礼します…!knさんに1票お願いします! (2021年8月31日 17時) (レス) id: 5b6ab789a5 (このIDを非表示/違反報告)
- 間違って2回押してしまいました。すみません (2021年8月30日 22時) (レス) id: c28a720460 (このIDを非表示/違反報告)
- smさん推しなのでsmさんに1票入れます! (2021年8月30日 22時) (レス) id: c28a720460 (このIDを非表示/違反報告)
- smさん推しなのでsmさんに1票入れます (2021年8月30日 22時) (レス) id: c28a720460 (このIDを非表示/違反報告)
りゃま - 良ければsmさんが良いのでsmさんに入れさせて頂きます (2021年8月30日 21時) (レス) id: b71400f95b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆー | 作成日時:2021年6月10日 21時

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