温かくて冷たくて (ページ9)

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答えのない質問なんてくそくらえ　樹side ページ9

「いってぇ！もっと優しくしてよ。」

「うるせぇ。なんでお前の怪我の手当てしなきゃなんねぇんだよ。」

「それが仕事だからだろ。」

「まあ、それは確かに。」

「んだよ。高地も樹の味方かよ。」

「別にどっちの味方もしてない。」

いつものようにガラの悪い連中に絡まれ、それなりに怪我をして、手当なんて別に必要ないけど保健室を訪れ、いつものようにしょうもない会話を繰り広げる。

高地先輩もいつものようにベッドに寝っ転がって、ずっと外を見ている。

基本的に彼と目が合うことはない。

「樹は喧嘩するの好きなの？」

珍しく彼のほうから話しかけてくれたことに少しうれしさを感じつつ、彼の問いに言葉を返す。

「嫌いですよ。痛いし。疲れるし。」

「そっか。」

「先輩は喧嘩とかしたことあるんすか？」

「まあ、あるよ。」

「え、うそ。」

「中学生になったばっかの時は悪いのがかっこいいみたいに思ってたからね。」

「意外。」

「そう？」

「穏やかなイメージしか無かったっす。」

「そうか？今でも割と反抗的だぞこいつ。」

「先生うるさい。俺のイメージ崩しに来ないでください。」

「ほらな。」

「ほんとだ。」

三人の笑い声が保健室内に響く。

最近、先輩はよく笑うようになった。

でも、どうしても、彼の笑顔が張り付いた仮面のように見えて、なんだか少し怖い。