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「北斗…先輩。」
俺は本当のことが知りたくて、俺が知っていることが真実なのか確かめたくて、今では全くと言っていいほど関わりが無くなってしまった彼のもとを訪れた。
「え、慎太郎?」
「うん。あ、はい。」
「嘘。え、大きくなったね!」
少し話しかけずらい雰囲気をまとっていたが、昔と変わらない笑顔に少し安心感を覚える。
「あ、ありがとう、ございます。」
「んふふ。何それ。いいよ、昔みたいに話そうよ。」
「うん!ありがとう。」
「で?わざわざ家まで来て何の用?」
「高地のこと。本当のことを知りたい。」
「なんで。」
「あの時はまだ小学生で、だれも詳しいこと教えてくれなかった。変な噂が出回って、高地はそんなことしないって信じてたけど、それを確かめる術もなくて。子供だからってはぐらかされて、本当のことを教えてもらえないことにずっと腹が立ってた。でももう俺は子供じゃない。」
「そ…っか。本当のことを知ったらもっと苦しむことになるよ。」
「覚悟はしてる。」
「無力だよ、俺たちは。」
「わかってる。」
「はぁ。いいよ。とりあえず入りな。」
チョー久しぶりに入った北斗の家で聞いた話は、自分の無力さを感じるには十分で、心がひどく締め付けられる感覚がした。
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作者名:すー | 作成日時:2021年5月7日 1時