第八話 ページ9
俺は旧校舎から少し離れた場所にある木に腰をおろして目を閉じる。
「ニャーン」
夜「ん?…ルリ」
膝に何か重みを感じて薄ら目を開けるとルリがいた。
寐「私も居るんだけど」
夜「……」
膝に乗っているルリを床に下ろすと俺は逃げるように立ち去ろうとする。
また泥棒扱いは勘弁して欲しいのでね。
寐「待ちなさいよ」
夜「…何?猫は取ってない…」
俺は篠波の目をまっすぐ見て言った。
寐「わ、分かってるわよ!」
何故か怒鳴られた。
寐「こっち向きなさいよ!」
夜「なんで…」
寐「いいから…!!」
無理やり顔を篠波の方に向けられて頬に手を当てられた。
淡い翡翠色の光が俺の頬にあたる。
夜「なあ…」
不意に思いついて聞いてみた。
夜「あんたと俺ってさ、どこかで会ったことがあるか…?」
寐「はぁ?ないわよ、そんなの!」
話していて思ったが彼女はこういう性格らしい。
夜「そう…」
本人か否かは置いておくとして、多分…昔の事だし覚えてないのだろうな…。
そう思うと俺の唯一の味方が居なくなった気がして心がスーと冷たくなった。
夜「…ありがとう」
俺は篠波にお礼を言ってルリを撫でた後に素早くその場を立ち去った。
心が闇と同調している。
とても良くない方向に能力が伸びている気がする…。
また暴走しないかが怖かったりする。
そんな風に思いながら俺は人目のつかない場所で目を閉じる。
いっそこのまま目を覚ませれなくて良いのにな。
あの時、氷の鎌にわざと当たって死ぬのもありだったか?
そんな風に自分の闇を恐れている俺が居た。
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作者名:シア@卯月 雛菊余接 | 作成日時:2014年3月21日 22時