異能者たちの学園１章【オリジナル】 (ページ49)

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第四十八話ページ49

理事長に呼び出された。

夜「……」

ここに収容された時以来に中へと入る。

夜「何か御用ですか…？」

理「いや…影縫くんが理事長を殺そうしているなんて、そんな噂を聞いたからさぁ～！」

やけに明るい口調の理事長。

いつもの事ながら理事長の表情は伺えない。

夜「それで？なにが言いたいんですか、つまり…？」

理「ん～！まあ、簡単に言えばさ、取引しない？」

俺が黙って考え込んでいると…

理「篠波寐莠の命についての取引だよ」

夜「……！」

向こうがそんな風に話を振ってくるとは思わず少し意外だった。

夜「…どんな取引ですか？」

理「そうだね、まず…学園は篠波寐莠を処分する方針にある。その事はキミも知ってるよね、影縫くん」

理事長が確認するよう尋ねてくるので俺は無言で頷いた。

理「まあ、実のところ篠波寐莠を処分しなくていい方法もあったりする」

夜「それが、俺との取引ですね」

理「そのとおりだよ、飲み込みが速くて助かるねぇ！」

何故か楽しそうな声音の理事長。

夜「それで…何をすればいいんですか？」

理「ん～そうだね、いろいろあるけど…まずは篠波寐莠との接触を避けてもらおうかな？記憶をあれ以上戻されると厄介だしね」

少し考え込んだ後に理事長は言った。

夜「…………」

理「なにも難しく考えることはないさ、出会う前に戻ったと思いなよ。闇に友達は要らないし、1人がお似合いさ」

理事長の言葉は俺の心に深く突き刺さる。

理「それにあいつらだってキミのことは何とも思ってないさ。その証拠に篠波寐莠は未だにキミを思い出さないのだからね」

夜「…………」

言われてみればそうかもな…と思ってしまった。

そして俺は理事長との取引きに応じることにした。

理「まあ…他にも頼みたいことはあるけど随時報告するから、よろしくね～！影縫くん」

俺は理事長を後にした。

きっとこれで良い筈だ、どうせ正解なんてこの檻の中にはないのだから…。