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第二十八話 ページ29

篠波は外に出たいらしい。

俺は結局どうしたいのだろうか?

篠波を外に出させる?

仮に篠波が外に出て俺はどうする?

俺には家族も友達も外で待っていてくれる人が居ない。

誰からも必要とされていない。

ならば外に出る必要はあるのだろうか?

夜「…分からない」

もし、俺がこの学園の人間を外に出したのがバレたらどうなるのだろうか?

俺も退学で殺処分かな?

それとも死ぬまで…いや、死んでも霧搭の研究資料になるのかな?

どの道、俺に死が迫ってくるのは間違えないはずだ。

夜「悪くないかもな…」

このまま誰からも必要とされずにひっそりと消えるのも…なんて思った。

そんな風に考えながら旧校舎の冷たい床に体を預けていると…。

「ニャー」

聞き覚えのある鳴き声の猫が俺の頬に擦り寄ってくる。

夜「…ルリ?」

薄らと目をあけて猫を見るとやはりルリだった。

飼い主と似た蒼い瞳と賢そうな顔立ち。

「ニャーン」

俺が優しく撫でると気持ち良さそうに目を細めて鳴いた。

夜「俺も猫とかに生まれたかったな…」

人(特に異能を持って生まれた者)なんて詰まらないと思ったからだ。

「ニャー?」

蒼い瞳は不思議そうに俺を映し出していた。

夜「ルリ、もう帰りなよ。あまり外に出ていると飼い主が心配するよ」

そう言って俺がルリを撫でるとルリはおとなしく俺から離れて行った。

俺は再びフードを深くかぶって目を閉じる。

おそらく次に目が覚めるのは夜が来る時。

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作者名:シア@卯月 雛菊余接 | 作成日時:2014年3月21日 22時

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