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第二十六話 ページ27

外に出るだけの能力が俺にある…。

俺はその事について色々と考えていた。

夜「俺は外に出たいのか?」

今まで外に出たいと思わなかった。

ここに来て俺は化物だからここに収容されたんだ…と思ったほどだ。

大人になっても年老いてもここに居ると思っていた。

そして…死んでも霧搭のコレクションとしてここに居るのだろうな…と思った程だった。

実際、俺が死んだら死体は好きにしろとの契約で霧搭には色々と頼み事をしている。

夜「分からない…」

俺は外に出たいのか?

外に出て何がしたいのか?

全く持って自分の事だけど分からなかった。

ふと篠波の顔が浮かぶ。

自分で分からないのならば他人に聞いてみればいいのではないか?

早速だが俺は生徒会長室に向かった。

手土産に生クリームのチョコレートを持って行くことにして…。

________________

トントン

生徒会長室をノックする。

寐「…どうぞ」

夜「………」

なんと言えば良いか分からずに俺は黙り込む。

寐「どうしたの夜鷹、私に何かようかしら?」

夜「ちょっと聞きたいことがあって…」

そう言いながら俺は生クリームのチョコレートを篠波に渡した。

寐「聞きたいことってなによ…?」

そう言うと彼女は1つ生チョコを口にほおりこむ。

とても幸せそうに口元を綻ばせている所からして味は好みだったようだ。

夜「えっと…もし、外に出れるとしたら…篠波は外に出たいのか?」

寐「…急にどうした訳? まあ、出れるなら出たいに越したことはないけどね。そう言う夜鷹はどうなのよ?」

とても訝しげに聞き返された。

夜「…俺? 俺は…良く分からないんだ…」

寐「分からないって自分のことじゃない…!」

篠波は生チョコを食べるのをやめて俺に強い口調でそう言った。

夜「…でも、分からないんだ」

寐「家族に会いたい、友達に会いたい、そんな簡単な理由でいいじゃない」

篠波の言葉はもっともだった。

夜「…そういうのないから」

しかし、親も友達も何もない俺には分からない感情だった。

夜「もう、帰るから…。なんか急に変な質問してごめん」

俺は生徒会長室を立ち去った。

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作者名:シア@卯月 雛菊余接 | 作成日時:2014年3月21日 22時

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