今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:7,536 hit
小｜中｜大
11、無い ページ13
「私の名前、ですか…。」
「『おい』とか『お前』って呼ぶのも何かあれだろ…。」
初めて名前を聞かれた。
それは嬉しかったけれど…
「…………無いんです。」
「は？」
「私、名前無いんです。」
「………………。」
そう、これが真実。
「私は『忌み子』なので…名前を持ってはいけないということで、剥奪されました。」
「…じゃあ、その前の名前は…。」
「……ごめんなさい、忘れてしまったんです。」
でも、名前で呼ばれるの、憧れるんだよなぁ…
「……オレがつけてやろうか？」
でも名前なんて無いし………って、え？
「つけるって…名前をですか？」
「名前ないとめんどくせーだろ…。あと、パンの礼だ。」
「………っ、ありがとうございますっ！！」
まさか、こんなに嬉しいことがあるなんて…
「何にするか………
じゃあ、Aで。」
A………か……。
「あの、何でその名前にしてくれたんですか？」
「…………何かそんな雰囲気だったから？」
「えっ、何で疑問形？」
……………………でも、
「ありがとうございます！
じゃあ、これからは、『A』って呼んで下さい！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うましか三平 | 作成日時：2017年7月27日 20時
