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3、最上階 ページ4

そのまま連行されたのはそりゃ東京タワーなんかよりも長いフリーホールみたいなエレベーター。

待って、私そんなところの地下にいたの??

高所恐怖症ではないが外の景色に驚き脚がすくんだ。観覧車に赤い煉瓦、隣のランドマークタワーにあのホテル。
まてまてまて、見たことがあるぞ。ほらみろ、あっちはみなとみらいちゃんじゃないか

てことは、ここ


「住みたい街ランキング一位の横浜じゃん??」

「おいついたぞ」

「扱いが雑」


手錠を無理に引いて歩く黒ずくめにいやいやついて行くと、そこには地下にいた黒ずくめよりもガタイのいい人達がずらり。
赤いカーペットが引いてあって、よくみたお笑い番組を思い出す。


「私どうなります?切腹ですか?もう腹痛は勘弁」

「静かにしろ」


立たされたのは死ぬまでに見るとは思っていなかった、中世の時代を思い立たせる白く重厚なフレンチドアだった。

死ぬまでにってもう死んでるんだけどね。はい。
もしかしなくともお偉いさんの前に放り出される雰囲気。


ノック音が2回響いたあと


「首領、失礼します。先程捕らえた侵入者を連れてきました」



もしかしなくともそうだねうん。

私はもう笑顔を絶やすことなくその言葉を聞いていた。だって首領(ボス)なんて言う組織、海外のマフィアかどこかの洋画のスパイ組織しかいねえよ


「入って構わないよ」


そう思っていたら、扉が開いた。
中から聞こえたのは随分と落ち着いた声だった。


「失礼します」


引かれて入ったその先。
居たのは、どうにもボスの雰囲気がない中年のおじさん……というには若い男の人と……天使…。

なにあのお人形さん動くの?

綿菓子みたいにふわふわな金髪が揺れる、卵のような白い肌に映える青瞳の小さな女の子がひとりで壁に落書きをしていた。

部屋の中は薄暗く、眼下に広がる横浜の街がまるで模型のように見える。


「君、ご苦労だったね」

「はい。失礼致します」


私を連れてきた背広は撤退して
対峙した中年の男はじっくりと私を眺めた。

落ち着いた雰囲気で、想像していたボスとは違う存在感を放つその人。シアンに近い紫色の瞳が妙に警戒心を高めた。


「初めまして」

「…どーも」

「どうやらうちの拷問班の頭を悩ませてくれたらしいね?」


心当たりがないなあ
あはは、と笑って「それはすみません」と言った。
どうやら私はこのタイプを好けないタイプらしい。

奥底で何を考えているかわからない、冷徹なタイプがね。

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作者名:今日もずる休み | 作成日時:2019年8月4日 18時

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