【沈黙彼氏】 ページ5
待ち合わせ場所は、このカフェ?かな。
ったく、あの宿屋に泊まったら体がバッキバッキなんだけど………。
最近、明らかに金け_________________。
「すまない、待たせたか………?」
『………え』
「ん…?何だ?人違い、だったか………?」
『………っ!そ、そうですけど。
ひ、ひひ人違いじゃないです………』
『わ、わたしです。』
「そうか、よかった。」
小走りでやってきたその人から、目が離せない。
写真通りの美貌。
やっぱり、良質そうなスーツ。
お金持ちそう、でも坊ちゃんがホストなんて………。
そんな彼は、待たせてしまった詫びがしたいらしく。
目前のカフェに寄ることになった。
ちゃりん。
特有の鈴音が、緊張感を煽ってくる。
しかし。
常連客の世間話に、一気に現実へ引き戻された。
「なぁ、マスター。
知ってるか………?」
「……もしや…………」
「あぁ、そうだよ。
最近、物騒な話が飛び交ってるもんで。」
「何でも、怪しい奴らが彷徨いて悪事を働いているらしい。」
………ど、どういうこと…?
な、なに………危ない人がいるの………??
最近、越してきたばかりなのに……….。
そんな話をしていていた常連客は、周囲を警戒するように出て行った。
マスターも、心苦しいのか少し項垂れている。
前で立ち止まっている彼も、心なしか眉を寄せている。
…………緊張しているのかな。
それとも…。
ううん、今の話を聞いたら誰だって怖いよね。
『…あの、どこか座りませんか…?』
「……ああ、すまないな。
こういったことには、慣れていなくて………気が利かなかったな。」
『い、いえ………多分、心配ないと思います。
た、ただの噂ですから………』
「…………。」
それが本当か分からなかった私は、先程のことを掘り返した。
本当に大丈夫かな……?
適当に腰を下ろすと、適当に注文する。
待っている間、彼はずっと黙っていて。
結局、注文していたものが来る方が早かった。
これが、25万の男…?
信じられない。
これじゃあ、あの時の男と変わらない____________。
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作者名:雪月花 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/38714f458f1/
作成日時:2023年8月27日 3時