26.00《俊足ディフェンダー》 ページ33
「あれ、Aがいない！？」
韓国代表レッドバイソンとの試合に勝利し、ベンチに戻るとすぐに明日人が大声を上げた。
その声に皆明日人の方へ振り返る。
勿論俺もそのうちの一人で、明日人の方を向いた。
その間もどこ行った、と騒いでいるその言葉通り、試合開始前にはいたはずのAの姿が見えない。
俺達がキョロキョロと彼女の姿を探していると、監督が笑いながら言った。
「あぁ、Aさんなら医務室ですよ〜」
「医務室！？」
「前半にはもういなかったんですが、皆さん気づかなかったんですか？
可哀想なAさん〜！！」
大袈裟に泣き真似をしてみせる監督に、確かに前半にはいなかったかもしれないと記憶を辿る。
……なんだか悪い事をした気分だ。
罪悪感に囚われていると、また監督がニヤリと笑った。
「それじゃあ皆さん、Aさんを迎えに行って貰えますか？
マネージャーのお二人には豪炎寺くんをお願いしますので」
勿論皆反論する訳もなく、比較的身長が高い西蔭、砂木沼さん、そして俺が彼女を迎えに行く事になった。
(背負って帰って来いって……あいつ嫌がらないかな)
監督に言われた事を思い出してこんな事を思う。
明日人が「俺も行く！」と駄々を捏ねているがそこは氷浦に任せておいて、俺達は医務室へ向かう事にした。
あの騒がしい集団から抜けていつもと違うメンバーで無機質な廊下を進むのはかなり新鮮な感じがする。
いつもは明日人や氷浦と一緒だから尚更この静かな空間は居心地が悪かったり。
「…………」
ちらりと2人を盗み見ると、砂木沼さんは俺と同じような表情をしていて、西蔭は無表情。
(やっぱ気まずいよなぁ)
そんな無言の時間に終止符を打ったのは、中学生の少女にしては飾り気のないさっぱりとした髪をした彼女の声だった。
「あれ、珍しいメンバーが一緒にいる」
そんな彼女が、俺は好きだったりする。
勿論、今の言葉には恋愛的な意味は無い。
…………今のところは。
そんなどうでもいい考えを消して、松葉杖をついてこちらへ向かってくるAに俺達は急いで駆け寄る。
「お前、なんで試合に出てないのに医務室にいるんだよ…………」
「思いっきり立ち上がったらコケた。
そしたら怪我が悪化した」
俺の問いに淡々と述べる彼女は背負って貰おうなんて考えていないのか俺達の横を通り過ぎた。
その時、俺は気づいてしまう。
―――――――彼女の唇に血が滲んでいた事に。
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なふなふ(プロフ) - いつも楽しみに読んでいます。よければお話したいです。 (2019年2月15日 22時) (
レス) id: 316b3c360a (このIDを非表示/違反報告)
皇帝ペンギンM←(プロフ) - SBBさん» 士郎ちゃん出たぁ! とてもよかったです ありがとうございました。次の更新 楽しみに待っています(笑) (2019年1月22日 18時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
SBB(プロフ) - 皇帝ペンギンM←さん» わ、ありがとうございます！受験終わるまで気が抜けません……。ぜひぜひいらして下さい！たのしみにしております！ (2019年1月21日 7時) (レス) id: 347b40d824 (このIDを非表示/違反報告)
皇帝ペンギンM←(プロフ) - SBBさん» おお!ありがとうございます。嬉しい限りです(笑) どうか体だけは気をつけて下さいね?では 失礼しました。ちょびちょび来ると思いますが その時はよろしくお願いします(笑) (2019年1月21日 0時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
SBB(プロフ) - 皇帝ペンギンM←さん» コメントありがとうございます！士郎くんですね！私もいつ出そうか決めあぐねていた所なので了解です！機会を図って出させて頂きますね！ (2019年1月20日 23時) (レス) id: 347b40d824 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SBB | 作成日時：2016年6月22日 21時
