お気に入り100人記念ー3ー ページ27
突然の私の発言にヨネさんも記者さんも私の方を向く。
しまった、声に出てしまった、と口を塞いだ時にはもう遅かった。
記者さんが目を輝かせて先を促している。
私は観念して答えることにした。
「……私筋肉が好きなんですけど、選手達の筋肉が眼福なんですよね」
「へぇ」
「例えば、この前の練習での出来事なんですけど」
確かそれは数日前の練習で私が必殺技で体勢を崩して地面に頭から落ちそうになった時だった。
うわ、と可愛げのない声を上げながら私の体は落ちていく。
その時抱きとめてくれたのが西蔭くんだった。
そして間近で見た筋肉にときめいてしまったのだ。
「と、言うことがあって」
「いや、それって選手にじゃなくて筋肉にときめいてるよね」
「はい」
やはり考えてみても選手にときめいた出来事はない。
いや、ないと思っているだけなのかもしれない。
私は生まれて此方恋はしたことが無い。
だから、ときめく、がどこを基準にしたらいいのかわからないのだ。
それに、選手達にはそれぞれいい所がある。
円堂さんは頼れる存在だし、稲森くんは明るくていい人だ。
吹雪さんと風丸さんは優しくて何より美形だし、氷浦くんや坂野上くんは純情で素敵。
豪炎寺さんと鬼道さんと野坂くんは賢くて何でも知ってるし、灰崎くんと不動さんと吉良くんは尖ってるけど実は優しい。
万作くんや基山さんや岩戸くんは私が困ってると助けてくれるし、剛陣さんや砂木沼さんは練習相手になってくれる。
一星くんは―――――――、
「……そうか、わかったよ」
記者さんの声に、私は彼を見た。
彼は至極穏やかな表情を浮かべている。
「ありがとう、もういいよ」
「え、」
「君がこのチームの事が大好きだって事がわかったからね」
それだけ言って、彼は椅子から立ち上がった。
そして、ウインクをして笑う。
「君がいたらきっと、このチームは大丈夫だろう。
これからも頑張ってね」
「ぁ…………」
私が口を開く前に、彼は満足気に出口の扉を開けていた。
そしてそのまま出ていった。
取り残された私は呆然と彼の去っていった方をみる。
ただヨネさんだけがふふ、と小さく笑っていた。
なんだかクラリオさんの言葉を思い出す出来事だったなと思う。
あの頃が随分と懐かしい。
それだけ私は心身ともに成長したのだろう。
(これからも彼らを支えていこう)
私は空になった皿を見つめた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なふなふ(プロフ) - いつも楽しみに読んでいます。よければお話したいです。 (2019年2月15日 22時) (
レス) id: 316b3c360a (このIDを非表示/違反報告)
皇帝ペンギンM←(プロフ) - SBBさん» 士郎ちゃん出たぁ! とてもよかったです ありがとうございました。次の更新 楽しみに待っています(笑) (2019年1月22日 18時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
SBB(プロフ) - 皇帝ペンギンM←さん» わ、ありがとうございます！受験終わるまで気が抜けません……。ぜひぜひいらして下さい！たのしみにしております！ (2019年1月21日 7時) (レス) id: 347b40d824 (このIDを非表示/違反報告)
皇帝ペンギンM←(プロフ) - SBBさん» おお!ありがとうございます。嬉しい限りです(笑) どうか体だけは気をつけて下さいね?では 失礼しました。ちょびちょび来ると思いますが その時はよろしくお願いします(笑) (2019年1月21日 0時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
SBB(プロフ) - 皇帝ペンギンM←さん» コメントありがとうございます！士郎くんですね！私もいつ出そうか決めあぐねていた所なので了解です！機会を図って出させて頂きますね！ (2019年1月20日 23時) (レス) id: 347b40d824 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：SBB | 作成日時：2016年6月22日 21時
