猫が4匹 ページ5
「ねぇ、神代くん」
「…………………………」
「神代くん!」
「………………何ですか」
放課後、授業のペアワークでペアになった私達は、目的の本を探すために図書室へと向かっていた。
しかし途中で、神代くんが「僕は僕で探すから、貴女は勝手に探していてくれますか?」と言って、どこかへ行こうとしてしまった。
それはそれは非常にムカついたので、意地でも彼をとっ捕まえて一緒に図書室へ行こうと、彼の後ろを必死に追いかけている。
でも、神代くんはどうしても私と一緒に……というか、女の子と一緒に何かをすると言うのは許せないみたいです。そろそろ泣いてもいいと思うんだ。
「……っし、捕まえた_______」
やっとの思いで追いついて、神代くんの手首を掴んだ時。
「っ_____!!!!俺に触るな!!!!」
鬼気迫った表情で、神代くんは私の手を振り払った。
「……っえ、あ、ご、ごめん」
彼の勢いに押されて、謝罪の言葉を口にする。
神代くんは、フーフー、と、酷く興奮し、私を威嚇しているようだった。
「……あ、あの、神代くん、」
「みんな、みんなそうだ……!僕のことを色眼鏡でしか見ない!誰も僕自身を見てくれない……!!」
余程のトラウマがあるのか、神代くんは少し震えながら、涙声になりながら、苦しそうに叫ぶ。
「……っ、苦しい……!!もう、うんざりだよ……!女性に、良いように見られるのは……っ!!」
「……怖い……怖いよ……」
少しうつむいたまま、神代くんは「わかっているよ」と続けた。
「……わかっているんだ、君が、そういう意図で僕の腕を掴んだわけではないということくらい。これは、僕の八つ当たりだ」
「……でも、どうしても……どうしても、怖い……」
カタカタ、と未だに少し震えている神代くんを見て、私はやっと自分のしたことの重大さを自覚した。
と同時に、一つ決意した。
「……わかった」
神代くんの顔を覗き込んで、しっかり。
「私、神代くんに必要以上に関わるのやめるね」
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音蘭 - こんな作品があるなんてびっくりしました!凄く面白かったです! (12月4日 23時) (レス) id: 05d9330194 (このIDを非表示/違反報告)
れーと - この作品最高です。大好きです。神作品をありがとうございます!!!!!!! (10月11日 23時) (レス) @page15 id: f8da97e70e (このIDを非表示/違反報告)
しずるちゃ(プロフ) - この作品が大好きです (5月24日 22時) (レス) @page13 id: ceaee015ba (このIDを非表示/違反報告)
赤坂(プロフ) - 面白いです!更新待ってます! (5月21日 18時) (レス) id: a636d9e24d (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 更新ありがとうございますっ!!! (2023年4月22日 18時) (レス) @page13 id: cdedb7c8a1 (このIDを非表示/違反報告)
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