恋愛対象は恋のキューピット【神代 類】

矢が8本 ページ10

｢あ、A先輩。お久しぶりです｣









｢え、あ、冬弥くんか。久しぶり｣









神代くんから逃れるために1年生の廊下まで来ると、青柳 冬弥くんに会った。









実は冬弥くんとは親同士の繋がりで、小さい頃から仲良くしている。ちなみに私の親もピアニストだ。冬弥くんのところみたいに厳格、ってわけじゃないけど。









｢お元気そうでよかったです。ところでA先輩、すごく急いでいるようでしたが・・・どうかしましたか？｣









｢え？あ、ううん。大丈夫だよ｣









神代くんに追われている、なんて言ったら、素直で優しい冬弥くんのことだ。心配をかけてしまうだろう。










｢そうですか？何かあったら、いつでも言ってください｣









｢うん、ありがとう。ていうかさっきから気になってたんだけど、隣の子誰？｣









さっきから私と冬弥くんが話しているから空気を読んでくれているのか、冬弥くんの横でじっとしているオレンジ色の髪の男の子がいる。









｢あ、俺ですか？東雲 彰人って言います｣









｢東雲くんね。私はA A。冬弥くんとは、小さい頃から仲良くさせてもらってるんだ。よろしくね｣









｢よろしくお願いします｣と、人当たりのよさそうな笑顔を向ける東雲くん。イケメンだな。









｢ところでA先輩、神代先輩とは知り合いですか？｣









｢え、うん。同じクラスだけど・・・どうして？｣









なんで急に神代くんの名前が・・・？









・・・まさか。










｢・・・いや、さっきからA先輩の後ろに、神代先輩が｣









｢やっと追いついたよ、Aくん｣









｢今すぐ消え去れ｣

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