矢が19本 ページ22
「Aくん、一緒に移動教室に・・・」
「あ、教科書借りてこないと」
「Aくん、一緒にお昼ご飯を・・・」
「先客あるから」
「Aくん、少しペンを貸してほしいのだけれど・・・」
「他の人に貸してもらって」
いつも通り、私に付きまとってくる神代くん。
でもいつもと違うのは。
私の胸に、モヤモヤが引っかかっていること。
そしてそれが原因で。
神代くんを、避け続けてしまうこと。
今日の朝に彼と女の子の言動を見てから、ずっと胸がおかしい。
2人が話しているとモヤモヤするし、彼女の姿を見ると変な気持ちになるし、朝の光景を思い出すだけで胸がチクチクする。
病院行った方がいいかな、なんて事も何度か考えたけど。
時は流れ放課後。終礼が終わると、いつも神代くんはすぐ私と一緒に帰ろうと誘ってくるので、今日はいつもより早く帰る用意をした。
「きりーつ、気をつけー、礼」
「さようならー」
号令が終わると、私は直ぐに鞄を手に取り帰ろうとした。
「ちょっと待ってくれないかい」
「・・・何」
・・・まぁ、当然捕まってしまうわけですが。
「Aくん、今日1日僕を避けていたようだけれど。それはどうしてかな」
「別に、いつもの事じゃない?」
「いつものこと?あれがいつも通りだったら、僕はとっくの昔に死んでしまっている」
「どうなってんだお前の体」
なんで私に避けられただけで死ぬんだ。それこそ病院行けよ。
「Aくんは言葉は冷たいが、なんだかんだいつも僕に付き合ってくれたじゃないか」
「なのに、どうして」と、悲しそうに訴えてくる神代くん。
「・・・別に、なんでもないってば」
そんな顔見たくなくて、私は神代くんの手を払った。
「私に構わずに、早くデートに行ってくれば?女の子待たせちゃダメでしょ」
「え」
今の自分に出来る精一杯の笑顔で、神代くんの前から去った。
上手く笑えてるかなんて、知らない。
・・・もう、どうでもいい。
「・・・冬弥くんに慰めてもらお」
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胡蝶 恵@副×2垢(プロフ) - 作者さん、最高だぜー!!! (4月13日 18時) (レス) @page45 id: 70a431d9b6 (このIDを非表示/違反報告)
葵衣@神代類推し(プロフ) - ミ"ッ、、、東雲ぇ、、、お前ぇ、、、最高かよ、、、神ですか? (3月14日 16時) (レス) @page45 id: 53e111f1d4 (このIDを非表示/違反報告)
aka(プロフ) - 続編に行かずこんなに神ってる作品初めて読みました!!!!!!!!!!東雲の失恋エピも最高っっっっ! (8月5日 0時) (レス) @page45 id: f77e69c6b8 (このIDを非表示/違反報告)
熱狂信者 - 本編もすっっっっっっごく良かったんですけど稀にある息抜きとかがどストライクなのって私だけじゃないですよね?ね? (2023年3月14日 10時) (レス) id: 60824d42a6 (このIDを非表示/違反報告)
琉依 - もう、作者様神ですか???こんな神作に出会えて本当に幸せです。今は類と夢主が幸せにしてるのを彰人が素直に祝福出来てないのも切ないし、失恋的な感じして最高です…。ツンデレが仇となって気持ちも伝えられなかったと考えると好き過ぎる…もう一回逝ってきますッ… (2023年2月14日 2時) (レス) @page45 id: 0de7de39c9 (このIDを非表示/違反報告)
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