恋愛対象は恋のキューピット【神代 類】

矢が10本 ページ12

｢おはようAくん。今日はいつもより遅かったね｣










翌日。当たり前のように私より早く教室にいて、当たり前のように挨拶してくる神代くん。









・・・いや、ほんとにさ。私たちつい最近まで本当に話したこと無かったよね？？？？？










｢・・・おはよう神代くん。なんで最近こんな早いの｣









変な話だが、神代くんは中庭で実験する時以外は遅刻ギリギリだった。逆に実験する時はチャイムが鳴る1、2時間ほど前に来ていたらしい。いや極端だな。









なのに、私に告白した日からはずっといる。私の方が遅いなんて、通常では有り得ないはずなのに。









｢それは勿論、1秒でも長くAくんの顔を見て、Aくんと同じ空気を吸い、Aくんの吐いた空気の近くにいるためだよ｣









｢100歩譲って前半2つはいいとして最後ヤバすぎるだろ｣









何吐いた空気の近くにいたいって。意味がわからない。まじで普通に気持ち悪い。イケメンフィルター解除された今。解除されてもイケメンなんだけど何？？？？









｢やはり好きな人とは同じ空気を吸いたいし、吐いた空気を拝みたいものだろう？｣









｢いや、わかんないっすね｣









｢ああ、Aくんは初恋がまだなんだったね。大丈夫、僕のことを好きになればすぐに分かるよ｣









｢多分そういう問題じゃないと思うよ｣









神代くんのことを好きになったとしても、｢やっぱり好きな人の吐いた空気は拝みたいんだよね｣とはならない気がする。









いや、好きにならないけど。こんな変態。










｢私眼鏡かけた清純そうな男の子が好き・・・｣









｢わざわざ僕に好みを教えるなんて・・・。よっぽど自分好みの僕になってほしいんだね！？いいだろう、いくらでも付き合うよ！｣









｢断じて違うから1人で暴走すんな｣

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