こっち見ないで、天馬くん。【天馬 司】

こっち見ないで5 ページ7

今は理科の授業中。今日は先生がいないらしく、自習になった。





自習ということで、周りの人達がすぐに大声で話し始める。それも勿論、勉強に関係の無いこと。





自習という言葉を知らないのか。知能が猿ほどしかないらしい。いや、もしくは猿以下か。






静かに勉強したい人だっているんだから、静かにしろよ。ていうかそもそも自習って喋る時間じゃないし。教え合うとかならまだしも。






昨日のテレビ見た？とか、うちの彼氏さぁとか、心底どうでもいい。どうでもいいのに、お前らが大声で喋るからこっちまで聞こえてくるんだよ。どうでもいい情報流してくんな。







これならまだ、真面目に勉強してる天馬 司の方がマシだ。






｢うう〜ん・・・わからん！！！！！これはどうやってやるんだ・・・？？？なぜこれがこうなる・・・？？？｣







うるさいけど。







でもまだ勉強してるからいいと思う。うるさいけど。理科に関係することだし。うるさいけど。







さっきから20分はずっと同じことを言っている。それで教えない私もどうかとは思うが、正直関わりたくないから話しかけたくない。







でも、これから授業が終わるまでずっとこの調子だと、私の集中力も切れるし、妨げになってしまう。






・・・嫌だけど、教えるしかないか。







周りに教えてくれそうな人はいない。









背に腹はかえられない。







意を決して、私は天馬 司に話しかけた。






｢・・・ねぇ、さっきからうるさいんだけど。何やってるの？｣








私が話しかけると、天馬 司は何故か嬉しそうな顔をした。






｢ああ、実はな、少し問題を解いていたんだが、わからなくて・・・。よければ教えて貰えないか？｣







・・・素直に頼んでくるんだ。ちょっと意外だった。







｢わかった。どこの問題がわかんないの？｣







私は少し身を乗り出し、天馬 司の問題集を覗き込んだ。







・・・結構応用問題が多いな。基礎の問題もあるけど、流石にそれは解けてるでしょ。







そう思った私は、頭の中で応用問題をどうやって教えるかシミュレーションした。








｢ああ、それが、この問題なんだが・・・｣







｢・・・え？｣






天馬 司、これ・・・








｢・・・基礎問題だよ？｣










《多分授業聞いてない》

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