友達の友達8 ページ9
急いで音のした方へ向かう。
すると、彼女が本を拾っている姿が目に入った。
落としてしまったのか。
急いで彼女に走りより、本を拾うのを手伝う。
｢大丈夫ですか｣
｢あ、はい。すみません｣
申し訳なさそうに眉を下げる彼女。
ちらっと棚を見ると、棚の上の方の段から本が消えていた。
きっと、無理して取ろうとしたんだろう。彼女は多分、身長が高い方ではないと思う。彰人と一緒にいるところしか見ていないからかもしれないが。
｢これで全部ですか？｣
｢はい。本当にごめんなさい。ありがとうございます｣
本を手に持ってお礼を告げる彼女。
すごく優しい目で本を見つめている。それほど本が好きなんだろう。
そして彼女は、精一杯背伸びをして本を片付けようとしていた。
また落としたら大変だ。次は怪我をするかもしれない。
そう思った俺は、本を直している彼女の手に自分の手を重ねて棚にしまう。
酷く驚いた顔でこちらを見た彼女に。
｢俺が片付けておきますから、Aさんは好きな本を見ていてください｣
そう言った。そして本を受け取り、次々に本を片付ける。
｢何から何まで、本当にすみません。ありがとうございます｣
｢いえ。もし届きそうにない場合は、俺に声をかけて下さい｣
またこんな事があったら大変だし、危ない思いはしてほしくない。
｢ありがとうございます。でも、青柳さんもお忙しいでしょうし、脚立とか貰えれば自力で何とかしますよ｣
脚立か。いつもは女子生徒が使っているから貸出すことはできないが、今日は俺1人だし、俺はなくても困らないから、貸し出しても大丈夫だろう。
｢わかりました。後ほど脚立を持ってくるので、それまで待っていてもらえますか？｣
｢はい。お願いします｣
ぺこりと頭を下げて、彼女は別のコーナーに行った。
・・・これを片付け終わったら、脚立を探さなければいけないな。
そう思い、さっきよりも直す手を進めた。
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