友達の友達13 ページ14
｢・・・・・あ｣
｢・・・あれ、まだいらっしゃったんですか｣
鍵を返しに行った後、玄関に向かうと、彼女の姿が。
・・・・てっきり、先に帰っているものとばかり。
少し驚いてそう口にすると、彼女の眉に皺ができた。
｢・・・どういう意味です？｣
｢あ、いえ、不快にさせるつもりはなかったんですが。てっきり先に帰られたのかと｣
俺がそう言うと、彼女は｢ああ、そういう・・・｣といって普段通りの顔に戻った。
｢最近、暗くなるのが早いし、少し怖くて。あと｣
その後に続く言葉は雨の音でかき消されてしまった。
｢あの、すみません。少し聞き取りずらくて。もう一度言って貰えると助かります｣
｢あ、いえ。別に、そんな大したことじゃないですから｣
気にしないでください。と言って彼女が手を振った。
・・・気を使わせてしまったようで、申し訳ないな。
｢それにしても、すごい雨ですね。青柳さん、傘もってます？｣
私持ってないんです、と恥ずかしそうに俯く彼女。
傘か。今日は一日晴れの予報だったから、持ってきていないな。
・・・あ、でも確か。
｢・・・あった｣
念の為、折り畳み傘を持ってきていてよかった。
｢青柳さん、折り畳み傘なんて持ってきてるんですね。私より女子力高い・・・｣
手元にある折り畳み傘を見て、驚きの表情を浮かべる彼女。
・・・そんなにおかしいことだろうか。
まぁいいか。
俺は手元の傘を開き、彼女の方へ目をやる。
｢じゃあ、この傘に入ってください｣
｢・・・え？｣
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