弐捨弐 子供には勝てない ページ49
私は一勝も出来ないまま夜が明けた
いつもなら21時過ぎには「寝なさい」と怒ってくるのに…
「ばあや、私寝なくていいの？」
それを聞くとばあやは大きくため息を吐く
私はむっとしてしまう
だっていつもなら私が「寝たくない」って言ったらいつも般若のような顔をして怒ってくるんだから
そりゃ寝なくてもいいの？ってなるじゃないか
少し頭を抱えた後、盛大な溜息を吐いた
なんだこのばばあ
「良いですか？たとえ夢であろうとも、貴方様が観ている世界は異世界なのです
私達も異世界に行く事がありますが、そこは此処 覚醒世界 の人間も稀に行くことのある現夢境です
しかし、貴女様はどうでしょう？
良い人も確かにいるかもしれません
ですが、悪い人もいるんです。良い人より多いんです。これは考えすぎなのかもしれませんが、そう思ってください
そしてそういう悪い人たちは組織的に動くことが多いんです
貴方は確かにこの世界の一般人より強いのかもしれません
でも、件の世界は身長が3ｍ以上あっても可笑しくない。しかも戦闘を得意とするものも多い
ならば用心しなければいけません。人間は何をしても可笑しくないと思ってください
子供であっても成長すれば悪い大人になっているかもしれません
今現在、ばあやは貴女様があの世界に行くには危険だと思っております
ですから、なるべく健康に支障が出ない程度に睡眠時間を減らしましょう
なんとか向こうに行かないようにばあやも調べてみますから」
本当はもっと沢山注意するべき事とか言われたが、ほとんどは覚えていない
生活リズムをずらして眠いのもあっただろうけれど、それよりばあやが私が思っている以上に私を思っていてくれているのが嬉しくて嬉しくて仕方がなかった
それに気が付いたばあやに怒られたけど
其処らへんあまりは反省するけど、気にしない
だって毎回凹んでいたらキリがないもの
自分が思っていた以上に疲れているんだろうか
こんなにも私を見てくれていることが嬉しいだなんて
犬猫や幼児と変わらないじゃないか
「ねぇ、ばあや」
ばあやに膝枕をしてもらいながら、私は話しかける
特に返答はないけれど、優しく私を撫でているから言ってしまってもいいだろう
「何で私って人間とは違うのに、人間と変わりないに感情があるの？
あの方々や実家の糞共にも感情はあるけど、人間と比べると感情は乏しいと思うんだ」
少し拗ねたように聞こえてしまったのかもしれない
ばあやはひょいと私を抱き上げる
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作者名：ぽにょぺにょん | 作成日時：2021年10月10日 18時
