微睡みゆらゆら海香り (ページ45)

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この家の奴らに振り回されること早数日
作戦はほぼ完了
あんなネグレクトだったリンリンが今では自分のお菓子を子供たちに分け与えている

彼女の環境適応能力をなめていた
此れでいつでも借ることができるというわけだ
……それが一番の課題なのだけれど

いつか帰ると言っただけでもあの騒ぎようだ
きっと伝えない方が良い
お互いの為に
……記憶を曇らせてしまいたいところではあるが、前の状態に戻られても困る
仕方がない
さっさと支度をしよう

支度と言ってもこの部屋の掃除とこの世界の言語を練習した紙を捨てるくらいだが
私の痕跡がなるべく残らないようにしないといけない
私は本来この世界にいてはいけない存在なのだからさっさと忘れてしまえばいい

寝具を天日干しをして、シーツなどの布類を洗う
合間に部屋に散乱しているおもちゃや本を回収し、仕舞う
それが終わってもまだ日は明るい

なので次は薬の調合をする
幸いここはお菓子作りの道具であれば何でもそろう
乳鉢等の料理器具は簡単に貸してもらえた
……薬の匂いが落ちなかったらどうしよう
…その時考えよう

材料は薬草数種類と繋ぎの草、生姜、蜂蜜、まじないに使う花、清らかな水と太陽と月の光をたっぷり浴びた月光石
牛乳や月下草なんかを入れても良いかも
……あと、仕上げに私の魔力と血液

勿論血液を入れなくてもある程度の傷なら治る
でも、私の血液を入れることによって薬の効能は跳ね上がる
………一つだけにしておこう
11本作って一つだけ私の血液を入れよう
作り方は簡単

なのだが、文字数は足りないし多分見ても君たち面白くないから小ネタで書くかもしれないね
教えて欲しいって声が来ればだけど

さて、そんなこんなで薬も完成
後は使ったものを返すだけ
薬の説明もちゃんとこの世界の言語で書かせたし、問題はない筈だ
日も落ちて、子供たちはもうすぐ眠りにつく
彼女にも子供達にも伝えない
きっと大騒ぎになるだろうし私を手放さそうとしないだろう
だからコック長にだけ伝えて私はここを出ていく
それが一番平和的だ
船員達は彼女に心酔しきっているかただの利益目的だ
絶対に報告する

だが、彼はずっと彼女と一緒に生きてきた
扱い方を心得ている…はずだ

此処の船は彼女のサイズにある程度合わせて作られているため、扉を開けるのも一苦労
まるでホラー小説に出てきそうな音を立てながら、私は扉を開く

此処に別れを告げる
ただ、それだけのために私が出向くなんてばあやが知ったら倒れそうだ