初めての感覚 ページ12
〜saka side〜
抵抗する事に諦めたのか、全身の力を抜いたAのシャツのボタンを数個開けた。
目に飛び込む、赤や青紫色の痣。
それ以外にも所々に傷があった。
きっと、Aはこれを見られるのを嫌っている。
だから、それに知らないふりをして、俺をただじっと見つめる彼女の唇を奪った。
初めての感覚。
柔らかくて、甘くて、ふわふわして。
「んｯ……!?ひょ、っ……!」
「っふ、、舌から吸わせてや」
相手の有無を聞かずに顎を掴んで顔を固定させた。
驚きを隠しきれていない彼女に、「舌、出して」と言えば、少し涙ぐんで、それでもﾁﾛｯと出してくれた。
「声、いっぱい聞かせてな？」
少しの間、深く口付けをしていた。
そしてなんの前触れもなく、熱を持ったその舌に牙を突き立てた。
「っあ”、ｯぅ”、、ぐ、…」
そんなにも痛いのか、目からはポロポロと涙が溢れていた。
それでも彼女の血は甘くて、美味しくて、止まらなくて。
目の奥に、ぐ、っと力が入るのがわかった。
「ん、っふ、、なぁ、んｯ…すごく、甘いで、？っはぁ……Aｯ…」
しばらく吸い続けたのが原因なのか、俺の声への返事はなかった。
我に帰った時にはもう遅くて、目の前には涙を流しながら気絶するAの姿。
その姿すら綺麗で、光によって色が変わるみたいに反射する白に近い髪がそれを引きたてた。
気絶しているせいか、その真っ白い肌は正気がなくて。
だけど、時折指がピクって動くのが生きているのを証明していた。
シャツのボタンを閉める時、ちら、っとセンラによって付けられた噛み跡が目に入る。
胸の辺りがチクッとした。
心当たりなんてなくて、きっと、自分が一番に吸えなかったからだ、と思うようにした。
それの答えを知るのは何故か怖くて。
でも、いつかわかるといいな、なんて思う自分に驚いた。
Aを部屋のベッドに寝かせると、気配があった。
「…なんや、まーしぃ」
「あれ？バレとったん？おかしいなぁ〜」
嘘見え見えのまーしぃを横目に、Aに布団をかけた。
「どうしたん？」
「あぁ、うらたさんが呼んどったで」
「えぇー、なんかしたかなぁ……今行くわ、」
「おん、先行っとる」
長い睫毛を伏せる彼女の瞼に唇を落として部屋を出た。
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作者です！コメント等、ありがとうございます！
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ての(プロフ) - Naoさん» ありがとうございます！頑張りますね、！ (2019年11月21日 22時) (
レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - 今までのアルバムのソロ曲の歌詞が出てきて、その歌詞のおかげでどんな状態なのかもよくわかって、すごく読みやすいし、面白いです！更新頑張ってください！応援してます！ (2019年11月21日 16時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)
ての(プロフ) - ミトさん» 嬉しいです！ありがとうございます！ (2019年11月18日 23時) (レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
ミト - 初コメ失礼します。 読んでいて、すごく面白かったです!続き楽しみにしてます。 (2019年11月18日 23時) (レス) id: d0ac5e5cac (このIDを非表示/違反報告)
ての(プロフ) - Naoさん» 気づいて頂けて嬉しいです、ありがとうございます！ (2019年11月18日 22時) (レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ての | 作成日時：2019年11月17日 21時
