君にあげたい言葉 ページ5
〜saka side〜
「どうして……そんなに冷たい瞳をしてるんですか？」
正直言って、怖かった。
ほんの少しだけ彼女が抱えている感情が流れ込んできて、でもそのほんの少しが、心臓を締め付けるような、息が苦しくなるような、そのくらい苦しいもので。
俺にだって愛情か何かはわからない。
かける言葉が見つからない。
それは他のふたりも同じようだった。
まーしぃの方は唇を噛み締めて、センラは目を見張って戸惑ったように視線を濁していた。
歩くことすら忘れて立ち止まっていた。
大人しそうな見た目をしているのに、一気に言葉が溢れてきたことに驚いたのかもしれない。
それでも、声を噛み殺すように俺の腕の中で涙を流す彼女が、なんだか小さくて、守ってやりたいように見えた。
人間はただの食いもん。
血が甘いヤツと不味いヤツがいて、
その中でも抜群に甘いヤツは心臓も美味くて。
だけど、人間は俺達が持っていないものを持ってる。
悲しみが俺らにはない。
心が死んでるのかもしれない。
そもそも悲しいという概念が無いのかもしれない。
それなのに……
なんでこんなに泣きたくなるん？
痛いくらいに刺さった彼女の言葉が脳内をグルグル回った。
醜いのは、俺達吸血鬼も同じなんやで。
俺には、愛情をあげる相手がおらんねん。
どうすれば泣き止んでくれるん？
足の傷が痛いんか？
どれを彼女にかけてあげたらいいか分からなかった。
崩れそうなくらい震えているその素肌に触れたい。
だけど、バケモノの俺が触ったら、きっと怯えるんじゃないかな。
「……まぁ、今はあの人達と一緒に居ないんで、幸せっちゃあ幸せですけど。……早く行きましょう、私達を待ってる人の所に」
凛とした声が耳に届いた。
彼女はもう泣いていない。
この時俺は悟った。
＿＿＿＿＿＿＿なぁ、君はすごく強い子なんやね。
〜saka side end〜
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ての(プロフ) - Naoさん» ありがとうございます！頑張りますね、！ (2019年11月21日 22時) (
レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - 今までのアルバムのソロ曲の歌詞が出てきて、その歌詞のおかげでどんな状態なのかもよくわかって、すごく読みやすいし、面白いです！更新頑張ってください！応援してます！ (2019年11月21日 16時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)
ての(プロフ) - ミトさん» 嬉しいです！ありがとうございます！ (2019年11月18日 23時) (レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
ミト - 初コメ失礼します。 読んでいて、すごく面白かったです!続き楽しみにしてます。 (2019年11月18日 23時) (レス) id: d0ac5e5cac (このIDを非表示/違反報告)
ての(プロフ) - Naoさん» 気づいて頂けて嬉しいです、ありがとうございます！ (2019年11月18日 22時) (レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ての | 作成日時：2019年11月17日 21時
