ダンス（白） (ページ18)

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ラウールside

今、僕はベンチに座っている。

しかも大好きな人とだ。

幸せそうにリンゴ飴を食べている姿はとても愛おしい。

僕まで幸せな気持ちになった。

さっき、A先輩が転びそうになったのを助けた。

助けた時、「俺、カッコいいな。」と自分でも思った。

A先輩も動揺してくれていた気がする。

男として見てくれているんだろうか。

それが気になって少し強引だったが、手を繋ぎましょうと誘った。

その時、A先輩は恥ずかしいと言ってくれた。

意識してくれていると期待していいのだろうか。

A先輩の一つ一つの行動が僕の胸を叩く。

こんなに好きになった人は初めてだ。

私(何？そんなに見て。食べたいの？いいよ、あげる。)

そう言ってA先輩は僕にリンゴ飴を差し出してくれる。

普通、好きな人になら自分が食べているものを、躊躇なくあげないはずだ。

そう考えると僕は、A先輩の恋愛対象にさえ入っていないのだろうか。

そういうことは付き合ってからしたいと思ったので、A先輩からのリンゴ飴は断った。

先輩は不思議そうな顔をしていたが・・・

とにかく、今日のこの夏祭りで先輩との距離を縮めるしかない。

でも、僕はそう意気込みすぎていたのかもしれない。