突撃！リアルジャングル！ ページ5
『────よし！行くぞぉ！』
その辺に落ちてた靴(流れ着いたものと思われる)に足を通し、気休め程度の木の棒を片手に持って、恐る恐る森の中へと足を踏み入れた。
外から見ても中から見ても、ジャングルはジャングルだった。湿気った熱っぽい空気が体を包み込み、様々な木々や植物が視界を取り囲む。先程までは聞こえていた猛獣の声もピタリと止み、不思議と生き物の気配は感じられなかった。
こんな状況でなければ、きっと私は散歩気分でここを歩いていたに違いない。それこそ鼻歌でも歌ってさ…さんぽでも歌ってさぁ……。今は冗談でもそんなことできる気がしないが。
若返りだかなんだかいう問題は発生したものの、身軽な体は現状プラスにしか働かないので、そこまで苦ではなかった。
むしろ体が軽すぎて怖い。今まで私はどんだけ体に疲労を溜めていたのかと自分のことなのに改めて戦慄した。そりゃ過労で倒れもしますわ…。
『まずは水と食料、その次は雨風を凌げる場所かな…。人ってのは案外こういう窮地でも動けるもんなんだなぁ』
それとも私の順応能力が無駄に高いだけか。それはそれでなんか野生児みたいで嫌だが。
『うわ、なにこの赤いバナナ……食えんのかこんなもん』
一応採っとくか、と服を籠のように使ってその中に放り込む。
他にも食べられそうな木の実や果物はあるだろうかと探しながら、水源を求めてジャングルの中を歩き続ける。ジャングルの地面はかなり不安定で、靴を拾っておいてよかったと改めて感じた。
今はピタリと気配も感じられない猛獣のこともそうだが、森の深くまで入らないことにも気をつけなければならない。迷ってジャングルをさまよい歩くことになれば、それこそ一巻の終わりだ。
これでも方向感覚には自信がある。そう大層なことが起こらない限り、迷子になることはないだろう───そう思った矢先だった。
『！？うわぁっ！？』
突然目の前に何かが降ってきた。思わず腰が抜けて尻もちをつくと、集めていた果物やらがその辺りに散らばってしまう。しかし、そんなことを気にする余裕はなく、私はただ落ちてきた�爐修讚瓩鯤鯀海噺�ていた。何せそいつは───
「き…ウキッ！ウキギッ！」
───猿だった。
猿は人間臭い動作で起き上がると、頭をかいて、それから私とガツンと目が合う。
こんにちは、現地の方ですか？実は私、最近この辺りに引っ越してきたものでして……。
そうして私と猿は、しばらくお互いの目を見続けていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 616人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
AG2(プロフ) - うぇさん» ありがとうございます！可哀想は可愛いの裏返しですからね❤︎ (2022年8月30日 13時) (
レス) id: 824802fbf5 (このIDを非表示/違反報告)
うぇ - 主人公…、強く生きろよ…いや好きですけど好き！！！ (2022年8月29日 17時) (レス) @page49 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - ニアさん» ありがとうございます！やっぱり幸せなだけじゃ物足りないですよね^ ^これからもじゃんじゃん不幸にしていきます！！ (2022年8月24日 7時) (レス) id: 824802fbf5 (このIDを非表示/違反報告)
ニア - これは主人公が幸せになろうとする度に不幸が襲ってくるパターンのタイプだ……リゲルが死んだところでちょっと泣いちゃった...とても面白くて読みやすい小説でした！！！ (2022年8月23日 23時) (レス) id: 6103ddda9f (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - おこげさん» ありがとうございます！これからもどんどん主人公を可哀想な目に合わせていきます！頑張ります！ (2022年8月18日 10時) (レス) id: 824802fbf5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハラマゲオ | 作成日時：2022年8月6日 23時
