友達 ページ21
自分の言葉が誰かに届くのは、こんなに嬉しいものなのか。私は一種の感激に、酔いしれていた。
「そういや、お前さんが作ってたイカダ、火をおこすのに使っちまったんだが……」
二人が一緒に果物を食べたあと、満腹で気分がいい時を見計らったように、リゲルがそう打ち明けた。私は『はぁ！？』と驚愕の表情を浮かべる。今まで見ていた炎は全て、私のここ数日の苦労をも焼いていたということか。
苦労を無駄にされた落胆はあったが、結局のところ私はリゲルを許した。どうせイカダが完成していたとしても、それに乗るかは定かではなかったし。
「でもお前さん、あのイカダで島を出るんじゃなかったのか？」
『そんなの無理に決まってるでしょ。�牋梁腓覆觜厦��瓩慮緘召粒い髻�航海術も持ってないのに乗り切れるはずないじゃん』
「え、航海術持ってないのか！？お前さん賢いから、てっきり……」
『私をなんだと思ってるの？』
航海術があってもなくても、どっちにしろ後半の海は厳しいことに違いはない。
私は膝を抱えて、炎を見つめた。体の調子が悪いのか、寒くて仕方なかったが、炎の温もりは何もかも包み込んでくれるようだった。
『……私、いいんだ、もう。この島から出られなくても』
「は？」
『どうせ海にでたところで危険なんだから、ここにいた方が───』
「なーに言ってんだお前。おれがいるだろうが！」
『え？』
リゲルは胸を反らすと、任せんしゃいと言わんばかりにドンと自分の胸を叩いた。その真摯な目が、貫くかの如く私を見つめる。
「おれには相棒の怪鳥がいるって話したろ！船なんかなくたって、おれが島から連れ出してやるよ！」
『え、で、でも……』
迷惑はかけたくない。そんな私の心境を読み取ったかのように、リゲルは更に口を開く。
「おれとお前は友達だ！友達をこんな島に置いてけるかってんだ！」
そう言ったリゲルの満面の笑みは、炎よりも眩しく、弾けるように明るくて、温かかった。
『う、うﾞぅぅ……！』
「えっ、おい、なんでまた泣くんだよ！おれなんかしたか！？」
『じでなﾞいﾞよﾞ……！』
「だよなぁ！？な、泣くなって……」
あたふたとするリゲルが面白くって、泣いてるのに笑ったし、笑ってるのに泣いた。嬉しくてたまらない。そんな感情を抱くのは、初めてな気がした。
しかし、忘れてはならない。この体に宿る、転生特典の存在を。
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AG2(プロフ) - うぇさん» ありがとうございます！可哀想は可愛いの裏返しですからね❤︎ (2022年8月30日 13時) (
レス) id: 824802fbf5 (このIDを非表示/違反報告)
うぇ - 主人公…、強く生きろよ…いや好きですけど好き！！！ (2022年8月29日 17時) (レス) @page49 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - ニアさん» ありがとうございます！やっぱり幸せなだけじゃ物足りないですよね^ ^これからもじゃんじゃん不幸にしていきます！！ (2022年8月24日 7時) (レス) id: 824802fbf5 (このIDを非表示/違反報告)
ニア - これは主人公が幸せになろうとする度に不幸が襲ってくるパターンのタイプだ……リゲルが死んだところでちょっと泣いちゃった...とても面白くて読みやすい小説でした！！！ (2022年8月23日 23時) (レス) id: 6103ddda9f (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - おこげさん» ありがとうございます！これからもどんどん主人公を可哀想な目に合わせていきます！頑張ります！ (2022年8月18日 10時) (レス) id: 824802fbf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハラマゲオ | 作成日時：2022年8月6日 23時
