見知らぬ場所で立ち往生 ページ3
────しかし、現実から目をそらしている暇はなく。
私は一度気を取り直して、今の状況を整理してみることにした。何をするにも、やはり現状把握からだ。
まず、私は仕事帰りに倒れた。どこにでもあるような住宅街の十字路に、恐らく原因は過労で。そして気付けばまるで知らない海辺にいました、と……。
『……何も分からないが！？歩いてたら倒れて！？気付いたらここにいた！？…その間に一体何があったっていうんだよ……！自分のことなのに何一つ覚えてねぇ！』
なんとか思い出そうと脳みそを絞るが、記憶の一滴すら出てこない。
これはもしかしての話だが……誘拐……なんて線もあるのでは！？そうだ、私も一応は歳若き乙女だし、世の中何が起こるか分からない。倒れているうちに社会不適合者集団にさらわれたなんてことは……！
『……いや、もしそうだとしてもこんなところに捨てるんじゃ意味無いよな……』
というか漫画の読みすぎだろう。
頭の中でありえそうなものから絶対ねぇだろというものまで、色々と仮説を立ててみるものの、そのどれもが今の状況には繋がらない。
さっきまであった空を漂っていた雲が見えなくなるほどの時間が経ってから、私は一度この考えを放棄することにした。丸めてポイだ。こんなもん。
考えても埒が明かないような気がなんとなくしていたし、実はそれよりも気になることができていたのだ。
今私が立っている浜辺には、海と隣接するようにして広がる森林があった。その様相は森林というよりも樹海というか
だが景色よりも気になることは────
(明らかにヤバい生き物の声が聞こえてくるんだが……)
「グルルルルル…」やら「ガオーーーッ！」やらの唸り声や吠え声が、森の奥深くから海岸まで響いてくる。聞いているだけで物々しい猛獣の姿が浮かび上がってくるようだ。背筋に這い上がるような寒気が走る。
出来ることならこの森には一ミリも近づきたくないが、実のところ、そういうわけにもいきそうにない。
というのも、今の私は絶賛手ぶらだ。海と森に挟まれたこの大自然の中にも関わらず、だ。倒れる前に持っていたスマホや財布なんてどこにもないし、水や食料も持っちゃいない。
何が言いたいかというと、このままでは孤独死不可避……お先真っ暗ということだ。
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AG2(プロフ) - うぇさん» ありがとうございます！可哀想は可愛いの裏返しですからね❤︎ (2022年8月30日 13時) (
レス) id: 824802fbf5 (このIDを非表示/違反報告)
うぇ - 主人公…、強く生きろよ…いや好きですけど好き！！！ (2022年8月29日 17時) (レス) @page49 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - ニアさん» ありがとうございます！やっぱり幸せなだけじゃ物足りないですよね^ ^これからもじゃんじゃん不幸にしていきます！！ (2022年8月24日 7時) (レス) id: 824802fbf5 (このIDを非表示/違反報告)
ニア - これは主人公が幸せになろうとする度に不幸が襲ってくるパターンのタイプだ……リゲルが死んだところでちょっと泣いちゃった...とても面白くて読みやすい小説でした！！！ (2022年8月23日 23時) (レス) id: 6103ddda9f (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - おこげさん» ありがとうございます！これからもどんどん主人公を可哀想な目に合わせていきます！頑張ります！ (2022年8月18日 10時) (レス) id: 824802fbf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハラマゲオ | 作成日時：2022年8月6日 23時
