最低最悪な目覚め ページ2
────ふと、意識が浮上する。
どれくらい…いや、そもそもなんで寝ていたのか…。そうだ、会社から家に帰ってて、それで……。
ぼんやりと漂うような眠気に囚われた頭で、気を失う前の事を思い出す。まさかあんなことになるとは……倒れるなんて社畜人生初のできごとだった。
特に専門的な知識があるわけではないので憶測だが、恐らくは過労か何かで倒れたんじゃなかろうか。むしろそれ以外に心当たりがない。
何せあの時は馬車馬の如く働かされ、いつも以上に疲れていたのだ。いつぶっ倒れても俄然納得がいく。そんな疲労困憊している中、歩いて帰ろうとした自分の豪胆さにむしろ驚きだ。拍手を貰っていいと思う。
さて……だとすれば、ここは病院だろうか？
先程からどうにも瞼の裏が薄ら明るく、倒れた時のような真夜中、もしくは屋外とは思えない。それに倒れた時はうつ伏せだったが、今は仰向けで横になっている状態だ。
流石に倒れたまま朝になったなんてことはないだろうし、やはり心優しい誰かが私を見つけて病院に搬送してくれたのだろう。背中にあるこの柔らかな感触はベッドに違いない
…でも、それにしては何か、遠くから僅かに迫るような音が───
『ッ！ガバッ！ゴホッ！』
一瞬、ザバンと大きな音がしたかと思いきや、半開きだった口の中に何かが入り込んできた。
途端に噎せた私は、口の中に入ってきたそれを反射的に吐き出しながら、糸が切れたように飛び起きる。
『うぇっ、しょっペ！なんだこれ！……………え？』
眩しさで目が眩みながらも、私はペッペッと口の中のものを吐き出していたが、それから直後、硬直した。
その時、目の前に広がる光景を見て、私はただただ我が目を疑った。一度眼球をほじくり出して洗おうかとすら思った。それほどまでに信じ難い現実が、今私の目の前にある。
─────そこには鮮やかに光る大海原が、晴れやかな青空と隣り合ってどこまでも広がっていた。
『…………えっ？？？』
たまらず冷静沈着と名高い私もこの反応だ。何度目を擦っても視界に映るものは変わらないし、開いた口も塞がる気がしない。舌のピリピリとした痛みを呆然と感じる。ちなみに冷静沈着は自称である。
なんてこったパンナコッタ。そんな寒すぎるオヤジギャグが出てしまうほど、現実離れした状況だった。
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AG2(プロフ) - うぇさん» ありがとうございます！可哀想は可愛いの裏返しですからね❤︎ (2022年8月30日 13時) (
レス) id: 824802fbf5 (このIDを非表示/違反報告)
うぇ - 主人公…、強く生きろよ…いや好きですけど好き！！！ (2022年8月29日 17時) (レス) @page49 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - ニアさん» ありがとうございます！やっぱり幸せなだけじゃ物足りないですよね^ ^これからもじゃんじゃん不幸にしていきます！！ (2022年8月24日 7時) (レス) id: 824802fbf5 (このIDを非表示/違反報告)
ニア - これは主人公が幸せになろうとする度に不幸が襲ってくるパターンのタイプだ……リゲルが死んだところでちょっと泣いちゃった...とても面白くて読みやすい小説でした！！！ (2022年8月23日 23時) (レス) id: 6103ddda9f (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - おこげさん» ありがとうございます！これからもどんどん主人公を可哀想な目に合わせていきます！頑張ります！ (2022年8月18日 10時) (レス) id: 824802fbf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハラマゲオ | 作成日時：2022年8月6日 23時
