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禪院家に仕える、その上次期当主候補の側仕えとなれば、禪院家の核に関わっていると言っても過言ではない。
いわば、この仕事は簡単には辞められないのだ。もちろん色んな理由もあるわけだから、絶対に辞められないわけじゃない。
ただ少なくとも、辞表を提出すれば終わるってほど簡単じゃない。
「矢羽A、と言ったな。これまた急に辞めたいなどとどういうつもりだ?それも直哉がいない今を狙って。話を聞けば直哉との仲も良好だったのだろう?」
だとしても、わざわざご当主様と1対1で話すことになるとは思わなかった。
「…」
「答えられぬか」
「はい。些細なつまらぬことでございます。……如何なる条件を設けてもらっても構いません。この家の情報は口外しないと誓いましょう。ですからどうか……」
「それほどまでに辞めたいのだな」
「はい」
「ふーむ……」
この人と2人きりは息が詰まる。この人の持つ威圧感はやはり長年の貫禄あってのものだろう。直哉様相手には感じない重圧を感じる。
「ところで矢羽よ。これは老人の戯言と思って受け流して構わないが………」
当主様はじろりと鋭い眼光でこちらを見る。
思わず、鳥肌が立って背中に冷や汗が伝う。
「お前の中に赤子がいるな?」
「……ッ!!」
「その反応は図星だな。なに、気にする事はない。過去にもそれを理由に辞めようとした者がいたのを思い出しただけじゃ。お前の様子を見れば分かる」
多分私の顔は真っ青だろう。気付かれるとは思っていなかった。直哉様だって、同僚だって気付かなかったのに。
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あい - めちゃめちゃ読んでて楽しかったです!!応援してます! (11月16日 19時) (レス) @page15 id: a6639cd8da (このIDを非表示/違反報告)
jやよ - これからの展開に想像しながら、更新待ってます! (2023年1月3日 10時) (レス) id: 7c8c23da7c (このIDを非表示/違反報告)
名無しの中学生 - 最初から読みました続き楽しみに待っています! (2022年3月7日 18時) (レス) id: 2f57e3c309 (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - 初めから読みました!!めっちゃ続きが気になります!!更新頑張ってください! (2021年5月24日 15時) (レス) id: 61644e4b7a (このIDを非表示/違反報告)
かめきち - 神ですか?一回読んだだけで大好きです!応援してます (2021年5月6日 22時) (レス) id: d0a08c8863 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皐月 | 作成日時:2021年2月27日 19時