Pretty you 3

しんそう(JH) ページ10

それはcomeback直前のことだった。
練習室に珍しく戦略室長が来て告げた。

室長「相手がわかった。SNSに上げたのも同一人物だった」

急展開だ。Aをこんな事態に追い込んだのは元練習生のナムジャだった。Aより先に入所し、デビューを目指していたけどSVT候補生にはなれず、ヨジャのAに先を越された。
Aが正式にメンバーになったと同時に退所、それからは別の事務所に入ることができなかったらしい。要は逆恨みだったのだ。

事務所が「警察に相談する」と発表したことに怖気付き、自ら申し出たとのことだった。室長曰く本人は「大変なことをしてしまった」と言っていたらしい。

練習生は全員デビューを目指すのが当たり前。努力だけではなんともならないこともある、俺だって全てがうまく進んだわけではないし、弟たちの実力に焦りを感じたこともあった。嫉妬してしまう気持ちは理解できる。しかし、今回のこととは別だ。
真実をバラしたからではなく、Aを傷付けたこと、怖がらせたことが許せない。本当なら怒鳴り散らして、殴ってやりたいくらいだ…。
でも、きっとAはそれを望まないだろう。

室長「本人には、これ以上AとSVTに関わらないこと念書にしてサインさせた。次にやったら警察行きにするとも伝えている。名前を伏せた上で、公表することも承諾させたよ」

SC「…そうですか。でも…室長はAを戻すかは別問題とお考えですよね？」

AをSVTに戻せるかはcaratに許してもらえるかどうかが争点だ。相手が判明したからと言って、活動休止が解けるわけじゃない。

「Aには伝えたんですか？というか、Aはどこにいるんですか、もう教えてくれても良くないですか？」

未だ教えてもらえないAの居場所。本当だったら今にでも走って行きたいくらいなのに…

室長「Aにはこれから連絡する。居場所はまだお前たちには伏せておく。comeback前の大事な時期に追いかけて行かれたら困るしね」

comebackは1週間後。Aの復帰は間に合わない。
その現実が辛かった。

室長「Aはだいぶ不安そうにしているよ。懸命に復帰のためのトレーニングはしているようだけれど、何よりファンとお前たちに許してもらえるのかと懸念していた。どうする？自主制作チームなんだから考えてみろ。どうやったらマンネがファンに認めてもらえるかを」

決めたことに協力は惜しまないと言って室長は練習室から出て行ってしまった…。

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