アイノチカラ

香り ページ24

「『今日もお疲れ様でした』…。」
「あsdfっghjk！！！！」

WZ「…叫ぶならちゃんと叫んでよ…」

通りすがりのジフナが呆れるくらい叫んだ。きっと今の俺は茹で蛸以上に顔が赤くなってる。
絶対最後の一言、悩んで付け足したよね？なんとなくだけど、想像できるんだ。

「洗剤教えてくれるだけでも幸せなのに…」

WZ「は？洗剤？ヒョン、自分が家事壊滅的にできないの忘れたの？てか、幸せになれる洗剤って何…？」

無理やり自分で作ったやり取りのキッカケだけど、たったこれだけの文面だけで有頂天だ。

WZ「何が何だかわかんないけど…俺寝るね。おやすみー」

「おやすみ、ジフナ！今日もお疲れ様！^^」

WZ「…ヒョン」

「何？w」

WZ「顔キモい…」

なんとでも言え！今の俺は無敵だ！


****


数日後、宿舎に小包が届いた。

HS「ヒョン、何買ったの？」

「俺専用の食器用洗剤」

HS「…皿割らないでね…？」

失礼な！俺だって洗い物くらいできるわ！

早速、新しいスポンジをおろして試しに使ってみた。

「…確かに…余計な香りがしない…」

自然由来みたいだけど洗い上がりはサッパリしてる、でも肌がつっぱる感じがしない。

[選び抜いてる…彼女らしいや]

そういえば…Aさんからは香水の匂いがしないのを思い出した。職業柄、俺の周りはいろんな香りが付き纏う。俺も気に入った香水をつけるけど…

JH『今日付けすぎ…頭痛い…』

なんてハニに言われたことあったな…。

「…ちょっと控えよう…」


*****


翌日、事務所に顔を出すとタイミングよくAさんに廊下で会えた。今日はラッキーな1日になりそう！

「おはようございます、コク次長」

A「…え？…おはようございます、S•COUPSさん。……？」

「どうかしました？」

A「…」

周りから見たらきっといつも通りだろうけど。俺にはわかる。何か戸惑ってる…。

「なんか俺、変なとこあります？」

A「…いえ」

「言ってください」

A「…あの…いつもの香りが…しないな、と思っただけです」

…気付いてくれた…。俺は今日、わざと香水を付けなかった。昨日の気付きから瓶に手が伸びなかったんだ。

「香水、付けなかったんです」

A「そうなんですね……いつもあの香りで近くにいらっしゃると…」

「え⁉︎」

俺の香水…覚えてくれてた？

A「…なんでもないです。お気になさらず」

そう言って去っていく彼女の耳が…少しだけ赤く見えたのは、きっと気のせいじゃない…

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