アイノチカラ

疑問だらけ ページ10

きっと君はなんとも思ってなかっただろう。
でも俺にはドキッとする言葉だった。
君の【思い出】に、俺が入り込む隙間がある…そう意識してしまうと…さらに君に惹かれてしまいそう…
でも…

*****

店員「では今日の19時ごろにお伺いした住所に配送しますね」

A「はい、お願いします」

サクサクと支払いと手続きを済ませて、店を後にした。

A「ありがとうございました」

「いや…俺はなにも…。植物、好きなんですか？」

A「S•COUPSさんは植物育てませんか？」

「あー…ミンギュとかは部屋に花を飾ったりするんですけど、俺はあんまり…」

特に鉢植えなんかは、忙しい毎日で世話は難しく。俺の部屋に植物はない。

「Aさんは…植物お好きなんですね」

A「植物は裏切りません」

ヒヤッとした…。言葉の奥に隠れた意味を、彼女の冷めた横顔から感じ取ってしまった。伏目がちに雪道を見つめる表情が、どこか寂しそうに見える。

A「愛情を注いだ分、綺麗に育ってくれますから」

「そう…ですね」

A「S•COUPSさんは…」

「あの！」

自分の気持ちがよくわからない。でも…彼女に近付きたい、そう思って…

「S•COUPSって…呼ばないで下さい」

A「…」

「俺も！今はプライベート、なんで…」

[どうして俺はこんなに必死になってるんだろう…？]

でも今この瞬間は、そんなことどうでも良かった。
最もな理由をつけて、どうにか彼女の心に近付けないか…

A「…確かに。考えが及びませんでした」

「すみません…」

A「いえ、私の至らない点でした。スンチョルさん」

「！！！」

彼女はいつもと変わらず無表情のままだ。なのに…なんでこんなに胸がドキ ドキするんだろう…。

A「スンチョルさんは…」

「はい」

A「サボテンすら枯らしそうですね」

「…おっしゃる通りです…」

A「ふふ…」

*****

君が僕の前で、初めて、明らかに笑った瞬間だった。
口角が上がったその表情は…普段の君からは想像できないくらい…可憐で、儚げで、やはりどこか寂しく感じた。

君といると疑問ばかりが浮かぶ。
なんで君といると、こんなに胸がざわつくんだろう。
どうして「裏切り」なんて言葉を口にするんだろう。
どうしたら…
どうしたら…もっと…君は笑ってくれるんだろう…

変化→←思い出ができる瞬間

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す