てのひら なべふか ページ44
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辰『 しょおたぁ 』
翔『 ンー? 』
辰『 やめて、それ 』
今なんの番組をやってるのかも
お互い分かってないテレビを垂れ流しながら
2人座っても少し幅があるソファで、
2人とも、スマホを弄っていたと思ってた
左手に違和感を感じて
手の先を辿ると、
そこには同じくスマホを弄っている、俺の恋人
違和感にやめて、と言うと
ぽかんとこちらを見る
翔『 なに? 』
辰『 なに?じゃねぇよ、コレ。 』
翔『 … 』
急に持ち上げられた右手にびっくりした様子の翔太
徐々に、柔らかく首元が赤くなる
辰『 え、まじ? 』
翔『 うるさい黙れ。見てないならテレビ消すよ。 』
辰『 待って無理無理、スルー出来ねぇから 』
翔『 あーもう、 』
辰『 可愛すぎんでしょ、無意識で俺の手弄ってたの? 』
スルーなんて出来るわけないでしょ、そんなん
愛おしすぎ案件でしょ、こんなん
翔『 うるさい… 』
辰『 可愛い 』
翔『 可愛いはやめて 』
辰『 こっちおいで翔太 』
翔『 行かない 』
辰『 そこからはどかないんだ? 』
翔『 …風呂入る 』
おちょくればおちょくる程赤くなる翔太
興奮しかしないでしょ。
逃げようとする翔太の右手を捕まえたまま
こちらに引っ張ると、ひょろひょろの身体は直ぐにこちらへ倒れ込む
翔『 まっじであぶねぇって! 』
辰『 んー?俺がいるから大丈夫〜 』
翔『 やめ、ろ! 』
辰『 ん、かあい 』
素直じゃないんだから。
可愛い右首元に吸い付くように唇をつけると
合わせるように左に頭を傾ける翔太
スイッチ押してくれたの、翔太だからね
テレビの消えた静かな部屋で
翔太の緩い吐息が聞こえる
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作者名:rui | 作成日時:2021年1月16日 10時